オリコン より(以下一部抜粋)

>俳優の西島秀俊が3年ぶりに主演する映画『CUT』(アミール・ナデリ監督、12月公開)が現地時間1日、イタリアで開催中の『第68回ベネチア国際映画祭』でオリゾンティ・コンペティション部門オープニング作品としてワールドプレミア上映された。上映前のレッドカーペット・セレモニーには、西島と共演の女優・常盤貴子が登場。『Dolls』以来、9年ぶりのベネチア映画祭に参加した西島は「今回は楽しんでいます。感無量です」。シースルーのロングドレスに身を包んだ常盤は初めての三大映画祭参加で緊張しつつも、映画祭の雰囲気を楽しんでいる様子だった。

ベネチアのレッドカーペットで笑顔をみせる常盤貴子

 同作は、主人公の売れない映画監督、秀二(西島)が、兄の残した借金を返すために殴られ屋を始める物語。イラン出身で、現在は米ニューヨークを拠点に活躍するナデリ監督は、『ナント三大陸映画祭』で2度のグランプリに輝いたほか、カンヌ、ベネチアなどの国際映画祭の常連で、今作では、ジャンルや長さにはこだわらず、先鋭的、革新的な新しい才能を発掘することを目的に設けられたオリゾンティ・コンペティション部門への出品となった。

 監督の知名度もあってか、上映終了が午後11時を過ぎるにも関わらず、会場は満席となる大盛況ぶり。上映後の拍手は鳴りやまず、スタンディング・オベーションは約10分間にわたり、同作の企画から製作にも関わっている西島は目を潤ませた。

 西島は「『Dolls』のときは、ベネチアは初めてで、よく分からないうちに終わってしまったのですが、今回は落ち着いて楽しむことが出来ています。撮影期間中は「誰とも口をきくな」という指示を監督から受けて、厳しい撮影をした作品が、ベネチアという場で満席のお客さんに受け入れてもらえて、感無量です」と喜びを口にした。

 常磐は「ヨーロッパの映画祭は初めてですが、街中みんなが映画祭を楽しんでいる感じが、すごく楽しい。何よりも、観客の皆さんが、世界中から選ばれた私たちの映画を楽しみにしてくれている姿、観終わってなお、賛辞の言葉を頂けたことが、本当に嬉しかった。私をベネチア映画祭に連れて来てくだったナデリ監督に感謝します」と語った。

 同作は、ベネチア国際映画祭に続き、北米最大といわれるトロント国際映画祭と釜山国際映画祭の出品も決定。海外セールスを昨年度のカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞した『ブンミおじさんの森』(アピチャートポン・ウィーラセータクン監督)など、現在のヨーロッパ映画界でアート映画界を牽引しているマッチ・ファクトリー社が手掛けることも当地では話題になっている。