産経新聞 より(以下一部抜粋)
> 徳川第2代将軍、秀忠の正室、江(ごう)の生涯を描く大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」。本日11月6日は、第43回「淀、散る」が放送される。
家康(北大路欣也)は京で起こった騒ぎを理由に、大坂城の牢人たちを放逐するか、秀頼(太賀)が国替えを受け入れるか、どちらかを選ぶよう迫る。
両家の激突をくい止めるため、常高院(水川あさみ)は駿府へ向かうが、家康の心を変えることはできない。
一方、秀忠(向井理)は、江(上野樹里)に、淀(宮沢りえ)への文を書くよう告げ…。
明智光秀の家老の娘で竹千代(のちの家光)の乳母・福(春日局)役を演じる富田靖子(とみたやすこ=42)のインタビュー・前編を掲載。撮影中のエピソードについて聞いた。(産経デジタル・上坂元)
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福は竹千代の乳母で、のちの春日局。父は明智光秀の家老・斎藤利三、夫は「関ヶ原の戦い」の東軍勝利に尽力した稲葉正成と、江には何かとゆかりのある人物。竹千代の養育をめぐって、江とたびたび対立する。
富田は平成9年に放送された「毛利元就」以来の大河出演だが、「その時は奥方の役だったため平伏することがなかったのですが、今回の役ではしなくてはいけないのにリハーサルで一人していなかったり…そのタイミングが難しかった」と話す。
福の登場は第38回「最強の乳母」で富田は「戸惑いの方が強かった」という。それは「過去の作品では江と福の確執が強く描かれていますが、それがすごくプレッシャー」だったが「『己の仕事をきっちりとやる』という感じの女性像に仕上げていくというのが今回のテーマ」だという。
幼稚園児の娘を持つ富田、母として乳母について「究極の選択でやっている仕事だと思います」という。それは「母乳が出ないといけないので、自分の子どもをおいてこの仕事に就くという辛い選択」で「そんな思いを忘れずに演じたいと思いました」と話す。また「もし自分の娘が乳母に育てられるとしたら?」と聞くと、「ありえない」とキッパリ。富田自身も母乳で育てたそうで「母乳をあげている時期、他の女性に抱っこされて機嫌がよかったら、取られてしまうような気がして腹がたった」と複雑な母としての心境を吐露。「出産後に身体を壊して必要な場合もあるでしょうが、それ以外では…」と思ったそうで「次の子どもを産まなければいけなかったからこその乳母ですが、そう思うと男性よがりな政(まつりごと)中心の考え方で、本来の家族中心ではなかった」と語る。そして「江が次の子には自分で母乳をあげるのは、女性として本能的な部分が強いのでは」といい、「3歳や7歳の幼い娘をお嫁に出すというのはすごく辛い決断だと思います」と話す。
また福としては「セリフやシーンを見ていて家族っていいなって思いました」と感じたようで「自分が家族を捨てて乳母という仕事をしていることもあり、思いの行き違いすらも羨ましく思えた」という。
この大河ドラマは「福と江の行き違いや確執はささいなことで、家族や愛情を届けるもの」という思いで演じているという。
女優でもあり一人の娘の母親でもある富田だが、福が初登場する回の直前に「電動自転車で幼稚園に娘を送っていくと、18歳の少女のような満面の笑みで先生から『次回予告を見ました』と声をかけられた」そうで、「こんなにも大河は人の表情を変える力があるのか」と再認識し、「また大河に出たいと思いました」と話す。
また「人を笑顔にさせる仕事に就いている」ということを改めて認識したと同時に「江がそういう作品であるということを幼稚園の先生を通じて感じた」という。「あの先生の顔を忘れずに努めたい」と思ったそうで「やはり大河は凄いです」と話していた。