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「北の国からの」の脚本家・倉本聰がカナダのロッキー山脈を舞台に描き上げたドラマで、2012年の元日にWOWOW開局20周年を記念して放送される「學」の制作発表会見が11月21日、東京・赤坂の在日カナダ大使館で開催。倉本をはじめ仲代達矢、高杉真宙、八千草薫、雨宮望監督が出席した。
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倉本が1992年に執筆した幻の脚本が、約20年の時を経て映像化される。誤って少女を死に至らしめたことで心を閉ざし少年が、祖父に連れ出されたカナダの山で自然と向き合い、生きる意味を取り戻していく姿を描く。
倉本は本作について、これまで2度ほど映像化に向けた動きがあったものの、いずれも実現に至らなかったと告白。「改めて取り出してみると、いまの時代に合ってきちゃったのかなと思う」と複雑そうな表情。執筆当時を振り返り、「『北の国から』のネガティブバージョンとして違った視点で若者たちを描きたかった。ちょうどそのころ、コンピュータが入り込んできて、子どもが自然から離れていった。若者がどんどん崩壊していくような気がしてそれを書きたかった」と作品に込めた思いを語った。
仲代は、「何でこんな素敵な作品が20年も放送されなかったのか不思議」と語る。仲代自身、「無名塾」を主宰し、長年にわたって後進の指導にあたってきており「だから僕には『いまどきの若いものは』という気持ちはないんです。ただ、我々の若いころと比べて役者になるための戦い方が薄いとは感じています」と若者に向けてメッセージを発した。60歳以上も年の離れた高杉に対しては、「15歳で監督の過酷な要求に対し頑張った」と称える一方で、「僕はもうすぐ80歳で、60年も俳優やってるけど変な商売だよ。こんなかわいい子が芸能界なんて変なとこに入って……。ちゃんと勉強して大学行って、幸せつかんで、子ども2人ぐらい作って定年という生き方もあるぜ(笑)」と独特のアドバイスで笑いを誘った。
高杉は劇中、ヘビの皮をはいで食べるシーンなどもあったが「ササミみたいな味で骨が多かったですね」とケロリとした様子。演技面では監督から厳しい指導を受けたそうだが、「厳しくしてもらったからこそ『學』で成長できたと思います」と感謝の思いを口にした。これには雨宮監督も「泣いてもいいですか?」とおどけつつ、その成長ぶりに目を細めていた。
また倉本は、司会者から本作の魅力を聞かれ「あなたは自分の魅力を聞かれたらどう答えるの? 作り手は自分の作品のことなんて恥ずかしくて言えないよ!」と毅然と拒否するなど、頑固な倉本節は健在だった。
「學」は、WOWOWで2012年1月1日放送。