オリコン より(以下一部抜粋)


放送開始まで1ヶ月半を切った松山ケンイチ主演の大河ドラマ『平清盛』で、これまでの時代考証に加え、今回、大河ドラマ初の“儀式・儀礼考証”が行われていることがわかった。平家と源氏という武士同士の争いだけでなく、第三の勢力“朝廷”による三つ巴の戦いが繰り広げられた時代。歴史的事実、所作だけでなく、華やかな平安時代を彩った儀式・儀礼までも21世紀に再現するべく、スタッフからは強い意気込みが伝わってくる。

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 戦国時代や江戸時代などを描くことが多い時代劇において、比較的馴染みの薄い平安時代を選択したことは50年の歴史を誇る大河ドラマにとって「挑戦」だという。

 大河51作目を手掛けるチーフ演出の柴田岳志氏はその使命感を胸に「今までの大河を見直して、初期の頃の作品の持つエネルギーはすごいと感心した。大河でなくては作れない醍醐味を実感して、のちの50作にも人間の持つパワーを引き継ぎたいと思った。だからこそ、リアリティにはこだわり、『かつてはこうだったのでは?』というのを加味して、新しい時代劇の王道を提示したい」。

 平安時代といえば、『源氏物語』に象徴される雅なイメージが先行するが、『平清盛』のコンセプトは「たくましい平安」だ。磯智明チーフプロデューサーは「貴族から武士の世へ移行するダイナミックな世。今を生きる人の手がかりになる、力強く生きる人間を描ければ」と俄然力を込める。

 時代考証を念頭に置きつつ、磯プロデューサーは「キャラクターによって、いろんな着こなしがあったと思う。だから、衣装の色は決まっていても、それぞれの個性を出すようにしている。史実通りを求める声もわかるけど、そこにどう折り合いが付けられるか」と課題を挙げ、キャラクター性を引き立たせるアプローチで“らしさ”を追求していく。

 衣装の風合いや馴染み感を演出すため、和服にストーンウォッシュ(ダメージ加工)をかけるなどの大胆な試みも実施。「扮装には最大に手間ひまかけて作ってます。烏帽子の試作だけでも3ヶ月くらいはかけたし、ストーンウォッシュで生地は使い古したようにヨレヨレになるし、色も抜ける。この番組では、リアリティをいかに表現するのかがポイント」(柴田氏)と、当時の人々の生活観を生き生きと描き出す。

 それらをさらに追求するべく、『服制と儀式の有職故実』(吉川弘文館)の著者である立正大学准教授の佐多芳彦氏を招き、大河では初めて「儀式儀礼考証」にも着手。「貴族にとって、政(まつりごと)というのは今の政治的な部分もあるし、年中行事を遂行、運営できてこそ上流貴族としてのステータスが生まれる。なので、貴族社会を描く上で神事、祭事、儀式はドラマの中で使っていくし、人間同士の交流の場にもなっていく。ドラマの一つの目玉にもなるので、そこを特化してやる以上、デリケートな部分があるので、専門の方を招いて再現しました」(磯プロデューサー)。

 クランクインから約3ヶ月が経過しても「まだ登場人物が出きっていない」と苦笑いの柴田氏。磯プロデューサーも「馴染みの薄い時代だから不安はある」としながらも「役者さんで観てもらいたいドラマ。だから、役者と役柄をフィットさせて、キャラクターで観てもらえるように工夫をしている。気付いたら、面白い複雑な世界に入り込んでいたという図にしたい」と視聴者に投げかけていた。

 大河ドラマ『平清盛』は、来年1月8日(日)よりNHK総合にて毎週日曜午後8時より放送。初回のみ74分拡大版。「2分PR映像」が、あす27日に最終回を迎える『江~姫たちの戦国~』の放送直後でのみ放送される。



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