シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)
>映画館のかき入れ時ともいわれるアメリカの祭日、サンクスギビングデーこと感謝祭。5連休となった週末のナンバーワン映画は、先週に引き続き映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』に決定した。
2週連続第1位の映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 1』場面写真
アメリカで一般的にウイークエンドと呼ばれる金曜日から日曜日の3日間だけで4,168万ドル(約33億3,440万円)、そして感謝祭の5連休で6,185万ドル(約49億4,800万円)という巨額の収益をたたき出したこの作品は、封切りから10日で総合興収は2億ドル(約160億円)を突破しており、来年11月16日に全米公開予定の同作パート2に早くも期待が集まっている。(1ドル80円計算)
ヴァンパイアに屈したものの、善戦したのが今週初登場2位の映画『ザ・マペッツ(原題) / The Muppets』で2,924万ドル(約23億3,920万円)の収益。マペットといえば、「セサミストリート」にも出演している日本では山田康雄などが声を担当したカエルのカーミット、そして天地総子などが声を担当したミス・ピギーなどがよく知られているものの、スヌーピーなどと比べると日本ではイマイチ知名度に欠けている。だがアメリカではミッキーマウスやスヌーピーにも負けず劣らずの人気でアメリカのアイドルといっても過言ではない。
元はテレビ番組「マペット・ショー」として1970年代のお茶の間で大人気となったのが人気の発端。エルトン・ジョンやジュリー・アンドリュース、そして映画『スター・ウォーズ』の出演者たちなど当時の人気者を迎えることで有名な番組だった。やがてテレビでの人気に便乗して映画界にも進出してきたマペットたちだが、シリーズ化されていくにつれて少しずつ人気が低下していった。
大型作品でデビュー第2位だとたたかれることが多い全米チャート争いだが、初登場が第2位でも善戦といわれているのは、長い冬眠を経てついに輝かしいカムバックを果たしたからなのである。
さて、今週第3位はワンランクダウンで36.9パーセント収益減となった映画『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』の1,340万ドル(約10億7,200万円)。2006年のほぼ同時期に公開されたシリーズ1作目は感謝祭のウイークエンドの時点で総合収益は9,926万ドル(約79億4,080万円)だったが、続編は現在までの総合収益も4,376万ドル(約35億80万円)と元気がない。
第4位は、3Dアニメ映画『アーサー・クリスマスの大冒険』で1,207万ドル(約9億6,560万円)。タイトルからも想像つくが、ストーリーが完ぺきにクリスマス向けなことから、この映画の本領が発揮されるのはこれからクリスマスにかけての1か月ということになりそうで、今後のロングラン・パフォーマンスに注目が集まる。
トップ5の最後を飾るのは、マーティン・スコセッシ監督初の3D作品となるファンタジー映画『ヒューゴの不思議な発明』。スコセッシ監督がいつも作る映画からはかなりかけ離れたイメージのあるファミリー映画で、デビュー週末の成績に関心が集まっていた。第5位で1,136万ドル(約9億880万円)という結果に終わったが実はこの成績、スコセッシ監督作品の歴代デビュー週末収益においてトップの座を守る映画『ディパーテッド』、そして第2位の映画『シャッター アイランド』に続き第3位につけており、なかなかの結果といえる。現在、全米1,277館での上映ということで配給のパラマウント・ピクチャーズは12月9日から上映館数をアップする計画をしており、これが実行されれば同作の収益に大きな効果をもたらす可能性がある。
さてトップ5は以上だが、ランキング初登場10位だったものの1館あたり1万8,835ドル(約150万6,800円)を稼ぎ出したすごい作品がある。すでにアカデミー賞候補のうわさもあるジョージ・クルーニー主演映画『ザ・ディセンダンツ(原題) / The Descendants』だ。アメリカで現在390館という小規模で上映されているこの映画は、これから数週間にわたり徐々に公開館数を増やしていく予定で、これからアカデミー賞までの時期、そしてオスカー受賞ともなればそれ以降も含めた長丁場でどれほどのヒットとなるかに関心が集まっている。
来週のチャート予想だが、今週末に公開される大作は何とゼロ! よって現在のトップ5の作品陣が首位をめぐって小競り合いを繰り広げることが予想される。メジャー作品には食傷ぎみという映画ファンには、小粒でもピリリと辛いオスカー候補のうわさも高い作品が1本、今週末にスタンバっている。映画『シェイム(原題) / Shame』という作品で、映画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』で若き日のマグニートーを演じて脚光を浴びているマイケル・ファスベンダー主演のアンニュイな大人のドラマである。各地の映画祭で数々の賞を受賞しており、全米トップ5入りするかは疑問だがオスカー・ファンにとっては要注意作品である。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)