「できるかな」ノッポさん77歳、子どもたちのため、震災後の日本にメッセージ!「小さい人のこれからは大人たちが考えないと」

シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)


>15日、東京のシネマート六本木で、映画『子どもたちの夏 チェルノブイリと福島』公開記念トークイベントが行われ、往年のNHK教育テレビの人気番組「できるかな」で人気を集めた、「ノッポさん」こと高見のっぽが、次世代の子どもたちに向けてメッセージを送った。

映画『子どもたちの夏 チェルノブイリと福島』写真ギャラリー

 1967年から20年以上にわたり放送された人気子ども番組「なにしてあそぼう」~「できるかな」のノッポさんとして知られる高見。彼がこの手の映画イベントに出演するのはそれほど多くはないが、「田野隆太郎監督と林哲次プロデューサーが若い友人なんですよ。この人たちがかわいいんです。あるとき、これ(本作)を観てくれとDVDを渡されたんだけど、そういうのはだいたい観ない。5分くらい観るとやめちゃうんだけど、これはちゃんと最後まできちんと観られた」と本作についてコメント。そして、「そうしたらいつの間にかここに出ることになっちゃった。君たち(監督とプロデューサー)がかわいいから来たんです」と語り、高見は優しい笑顔を見せた。

 長らく子供向け番組に出演してきた高見は、子どもたちのことを、敬意をこめて“小さい人”と呼んできたという。その理由として、「僕なんか、年をとっているだけで賢さもするどさも小さい人と同じだと思うんですよ。結局、5歳も6歳も77歳も一緒。もしかしたらわたしよりも5歳から6歳のおちびさんの方が賢いかもしれないなと思うからね。大きい人は、時間と体重といった物理的なところで大きいだけだから。そういう意味で、僕は彼らを“小さい人”と呼ぶんです」と明かした。

 本作では、放射能の被害を受けた福島とチェルノブイリを舞台に、放射能と向き合いながら、それでもそこで暮らしていく“小さい人”たちを優しいまなざしで描き出しているわけだが、「年寄りや大人は遅かれ早かれ死ぬからいいんです。でも若い人はこれからがあるし、この先どうなるかわからない。僕は小さい人が大好きですから。(彼らは)これから長く生きなきゃいけないから、かわいそうに思うところがありますし、わたしには耐えられない。大きい人たちは、小さい人がえらいことになるよということを、これを契機にもっと正直に、もっと勉強して、考えてもらえたらなと」と切々と訴えかける高見は、「そう思うんですよ、心の底からね」と優しい笑顔で付け加えた。

 本作は、最悪の原発事故を経験したチェルノブイリと福島、両地域の人々を追ったドキュメンタリー。チェルノブイリ原発事故の影響を再考するべく製作されていたところに、福島第一原子力発電所事故が発生。その後、福島での取材映像を重ね完成した。結婚や出産をあきらめず前向きに生きるウクライナの若者たちに、わが子を守るため自ら行動する福島の母親たちと、共に困難な状況にあっても生きようとする人々の姿が印象深い。(取材・文:壬生智裕)

映画『子どもたちの夏 チェルノブイリと福島』は12月17日より銀座シネパトスほかにて公開