まんたんウェブ より(以下一部抜粋)


>息子を捨てた父と、捨てられた息子が10年ぶりに再会、スクラップ寸前の旧式ロボットを通じて親子の絆を取り戻していく感動の映画「リアル・スティール」が全国で公開中だ。元プロボクサーで、いまはロボット格闘技のトレーナー・チャーリー役に、「X-メン」シリーズなどで知られるヒュー・ジャックマンさん。自分を捨てた父チャーリーと再会する11歳のしっかりものの息子マックスを演じるのは、カナダ・トロント出身のダコタ・ゴヨ君。作品のPRのためにショーン・レヴィ監督と来日したゴヨ君に話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

【写真特集】ゴヨ君のインタビュー時の表情

 マックス役の子供を選ぶ際、今作で製作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグさんから「演技力のみならず、何か特別なものを持った男の子。観客が応援したくなるような本物っぽさを持つ少年を見つけてほしい」といわれ、「彼に会ったとき、その表情に“真実”が見え、まさにこれだと思わせるものを持っていた」と、インタビュー直前の会見でレヴィ監督に称えられていたゴヨ君は、現在12歳、まだあどけなさの残る男の子だ。今年公開された「マイティ・ソー」では、クリス・ヘムズワースさん扮(ふん)する主人公ソーの子供時代を演じていた。

 ゴヨ君が演じるマックスは、10年ぶりに再会した父チャーリーが借金まみれでだらしなく、彼からの愛を得られない寂しさを、旧式ロボットのATOMで癒やすという高度な表現力を要する役柄だ。それを彼はリアルに表現し、観客の心を激しく揺さぶる。チャーリー役のジャックマンさんも、ゴヨ君の演技には「本当に驚かされた」と舌を巻いたほどだ。

 ジャックマンさんについてゴヨ君は「みんながいっているだけじゃない、本当に素晴らしい人」といい、撮影の合間に一緒に遊園地に行って遊んだことは、「大切にしている思い出」とはにかんだ。特にゴヨ君の心に残っているのは、ジャックマンさんからされたいたずらだ。なんでも、チャーリーが運転するトラックに乗り丘を下る場面の撮影のとき、ジャックマンさんはブレーキが効かないふりをして、隣に座るゴヨ君を半泣きにさせたという。「僕が泣きそうになったのを見て、ヒューはゆっくりトラックを停めてニヤっと笑ったから、いたずらだとわかりました。だから今度はヒューの写真撮影のときに、僕が仕返しとして後ろから忍び寄って、彼を驚かせました」とちょっぴり誇らしげに教えてくれた。

 今作で使われるロボットは、ATOMをはじめ実際に4体が作られた。複雑な動きはコンピューターグラフィックス(CG)の力を借りているが、立った状態で胴体や頭部を動かす場面では、すべて実物が使われた。会見でレヴィ監督は「どこまでが本物でどこからがCGなのか見分けがつかないといわれるのが一番の褒め言葉」と話していたが、完成した映画を見たゴヨ君も「自分と“共演”した動かないロボットと、アニメーション化されたロボットの(映像の)継ぎ目がなかったので、アゴが外れるほどびっくりしました。アニメーションを手掛けた人たちは本当にすごい。彼らとハイタッチしたかったです」とスタッフをたたえた。

 ジャックマンさんはもちろん、ジョニー・デップさんとレオナルド・ディカプリオさんを「尊敬する俳優」といい、将来は「西部劇」か「マーベル(コミック原作の)作品」に出たいというゴヨ君。彼なりに「いい俳優の条件」として挙げた項目は、「たとえ作品がヒットしても傲慢にならず、常に感謝の気持ちを持ち、周囲の反応に気を配ること」という優等生的なもの。加えて、趣味は「乗馬」で、会見中もインタビュー中も物静かで、実に“大人”だったので、子どもらしい一面を見たくて、「ほかに趣味は? 好きな学校での教科は?」とたずねると、「ムエタイとゴルフ。好きな教科は算数と体育です」と、これまた“大人”な答え。あきらめかけたとき、他の記者がマーベル作品が好きだというゴヨ君に、12年公開予定のマーベルの大作「ジ・アベンジャーズ(原題)」は楽しみかとたずねた。すると「見たくて死にそう!(登場人物の中で)誰が好きかなんて難しくて選べないよ!」と、やっと子どもらしい表情を見せてくれた。そんな二面性を持つゴヨ君の天才子役ぶりを映画館でぜひ確かめてほしい。

 <プロフィル>

 1999年カナダ、オンタリオ州トロント生まれ。5歳でテレビ初出演。テレビシリーズ「リスナー 心を読む青い瞳」(シーズン1、09年)や、「マードック・ミステリー 刑事マードックの捜査ファイル」(シーズン2、09年)などに出演。11年には映画「マイティ・ソー」で主人公ソーの子供時代を演じた。12年は声の出演をしたドリームワークスのアニメーション「Rise of the Guardians(原題)」が控えている。