アカデミー賞は子ども向け映画がきらい?苦戦の気配がする『ハリポタ』や『ヒューゴの不思議な発明』【第84回アカデミー賞】

シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)


>「オスカーは子どもぎらいか?」という特集記事がアメリカの著名新聞に掲載された。過去のアカデミー賞を振り返ると、いくら作品が素晴らしくオスカーに値するものであっても若年層(特に子どもたち)を対象にした作品であるとなぜか受賞に至ることは非常にマレであるという内容だ。

作品賞、監督賞の候補に残ることができるのか注目『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』

 ハリウッドのオスカーおたくたちの言い分としては、いつもはシブ顔の映画評論家たちがいくら『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』に感動し、映画『ヒューゴの不思議な発明』を絶賛しても結局のところこれらの作品がアカデミー賞を取る可能性は非常に少ないというのである。以前アカデミー作品賞部門候補となったピクサーのアニメーション映画『トイ・ストーリー3』も作品賞部門の枠が10本だったからこそノミネートされた作品で、本来なら候補にもならなかったであろうと言われている。

 驚くのが、映画史上の名作のひとつと言われる1939年に公開されたミュージカル映画『オズの魔法使』をアカデミー会員たちが完全に無視したという過去である。この作品にはオスカーの栄誉が与えられなかったばかりかアカデミー賞候補にノミネーションすらされなかった。

 だがこの名作に目もくれないとはアカデミーの名誉にもかかわりかねないということでアカデミーの総本山である本部が介入。“最高執行権”を使用して、主役ドロシーを演じた天才子役ジュディー・ガーランドに、本物のオスカーよりも一回り小さい“子役アカデミー賞”なる即席のオスカーを授与することにした。だがそんな賞をもらってかえって恥をかかされた気分となったジュディ・ガーランドは、この“ミニ・オスカー”を自宅の屋根裏奥深くにしまいこみ、その家を引っ越す時もその“ミニ・オスカー”を置きざりにして出て行ったという逸話が残っている。

 1977年、アメリカの文化にまで影響をもたらすこととなった映画『スター・ウォーズ』にしても、技術面でのアカデミー賞受賞を果たしたものの作品賞、監督賞では総くずれ。また80年代に入ると世界中で大ヒットしたスティーヴン・スピルバーグ監督の名作『E.T.』がアカデミー賞候補にノミネートすらされなかったというのは有名な話。

 オスカー争いが日増しに激しさを増しているハリウッドだが、良い映画は大人向けだろうが子ども向けだろうが良い。正当に評価してほしいと願うのが一般映画ファンたち全員一致の意見であろう。