東京独女スタイル (http://www.dokujo.com/ )から試写会の招待を頂いたのでいそいそと出かけて参りました♪ アカデミー賞発表前に最多11ノミネートの「ヒューゴの不思議な発明」を見られる機会、絶対逃してなるものか、ですよ。
今年のアカデミーって、メインのノミネート作品がまだ日本で公開されてないものが多いんですよね。作品賞候補の9作品の内これまで私が見たのは「ツリー・オブ・ライフ」「マネーボール」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の3本ですが、まーこーいっちゃーなんですが、どれも今年の本命ではないわけですよ。それでもこの中では「ものすごく~」が結構好きなタイプの作品だったので、ま、授賞式当日はこれを頼りにぼーっと見るか、なんて思ってたんです。
ところが今日の試写会に行ったおかげでその態度――すなわち今年のオスカーに対する興味の薄さ――がガラリと変わってしまいました。
もーアタシ、「ヒューゴ」イチオシ!
今年のオスカーは11部門でちからいっぱい「ヒューゴの不思議な発明」応援しちゃうからね!!(←黄色い声)
アカデミー賞って、自分の好きな作品がノミネートされてるかどうかで見る側ののめり込み方が全然違ってくるんですが、今日の試写会のおかげで27日の授賞式が超楽しみになりましたね!
ネタバレになるので詳しくは書けないのですが、「ヒューゴの不思議な発明」は私のような特撮映画ファンにとってはまさにバイブルのような作品でした。も~、こんな特撮愛にあふれた映画、涙なしには見られませんよ! だからこそマーチン・スコセッシ監督はこの作品を最新のSFX(特撮)技術を使った3DCGにしたのだろうと思いました。
ついでに言いますれば、ジュール・ヴェルヌのSFやロビン・フッドなど、子どもが胸躍らせて読むような本への愛もあふれてました。その愛を美しく語るのが「キック・アス」でヒット・ガールだった時よりちょっぴりお姉さんになったクロエ・グレース・モレッツ。本が大好きでその世界に憧れる少女をこんなにも魅力的に見せてくれるなんて、スコセッシ監督、さすがです。
いや~、実は私、今までスコセッシって全然好きになれない監督だったんですよね~。「タクシー・ドライバー」は深夜のテレビで一度見ただけだし「レイジング・ブル」なんて何度放映されても全編見通せた試しないし、最近の作品はレオナルド・ディカプリオが出てるから見ているようなもので、見ても別に好きじゃない、というより好きになれない作品ばっかりだったんですよ。
何かね、世をすねたというかね、世の中なんてこんなものというかね、自分を取り巻く世界を突き放して見据えているような苦いものばかり撮っていたじゃないですか、今までは。特に女性に対して辛辣というか、所詮男を裏切る存在としてとらえているような視点が女性である私としてはあまり好ましいものではなかったわけですよ。
でも「ヒューゴの不思議な発明」にはそういう部分がないのね。せいぜいが底意地の悪いと思われる登場人物も出てくるぐらいです。この映画には、それまで感じることのできなかったスコセッシの愛と優しさが満ちあふれています。誰かに激しく傷つけられる前の、彼本来の純粋な心はこうだったのか、とさえ思いました。
だからといって、甘いわけではないんですね。
時代が今と違うというのもありますが、子どもだからといってぬくぬく育てられていると思ったら大違いで、悲しみを背負って生きていくのは大人と同じに辛く苦しいものだという表現もこれでもかという程あるのです。
それでも物語のトーンが明るいのは、主役のヒューゴが楽しむことを知っているから。
これは、誰かに与えて貰ったもので楽しませて貰うのとは違います。おもちゃで遊ぶから楽しいのではない、自分でものを作り出す事によって喜びを得るのだと、彼は小さい頃から体得しているのですよ。ヒューゴにとってのそれは「修理」で、壊れた機械にもう一度命を吹き込むのことが彼には楽しい遊びなのです。そのわくわくするような喜びが伝わってくるから、彼の境遇がどんなに悲惨なものでもこの映画は不思議な明るさで輝いているのです。
ヒューゴ役のエイサ・バターフィールド君、大きな目でちょっとばかり子役時代のイライジャ・ウッドに似てました♪ クロエちゃんと向かい合うと、ちょっとツンとした鼻の形がそっくりで可愛かったです。
イライジャ、といえば「ロード・オブ・ザ・リング」ですが、「ヒューゴ」にはサルマン役のクリストファー・リーも出演してまして、ベン・キングスレーと一緒に美老年ぶりで画面をひきたてておりました。音楽はハワード・ショアで、「ロード」同様本作でもオスカーノミネートされております。
オスカーにはノミネートされてませんが、意外とよかったのがサシャ・バロン・コーエン。「スゥイーニー・トッド」の時と同じく目も覚めるようなブルーの衣装で登場。これがまた似合うんですわ。もちろんその素晴らしい衣装は(もちろん他のも)オスカーノミネート。サンディ・パウエルは3度受賞したオスカーの内スコセッシとは「アビエイター」でとってますが、再現なるか?
忘れちゃいけない、ジュード・ロウの良きパパぶり。最近「シャーロック・ホームズ」や「レポゼッション・メン」といった作品で粗野スレスレの役が多かったですが、こ~んなソフトで子煩悩な演技ができるんだったら、もっともっと父親役で出て欲しいと思っちゃいましたよ~。
とにかく冒頭の数分でマジックにかけられてからラストシーンに至るまで、映画ファン(特に特撮の)と読書好き(特に子どもの頃からの)にとっては幸福な瞬間の連続です。オスカーの結果に関わらず、これは絶対劇場で見た方がいい映画。3月1日、映画の日から公開です。