東京独女スタイル(http://www.dokujo.com/ から試写会の招待があって「ヘルプ~心がつなぐストーリー」を見てきました。


前日同じく試写会で見た「スーパーチューズデー」が男社会だったのに対しこちらは完全に女社会の話。社会を改革するためにまずトップになろうとするのが男。身近な所から変えようと努力をするのが女。

家に帰ってテレビをつけたらアカデミー賞の再放送真っ最中で、いきなりオクタヴィア・スペンサーが感涙のスピーチをしていた。そう、この「ヘルプ」でとったんだよね~♪ おっきな目の演技がか~わい~の♪


そのままアカデミーの再放送見てたら次は助演男優賞の発表で、クリストファー・プラマーが受賞。「人生はビギナーズ」も同じ日に見たばっかりだったのでものすごく納得。今回の助演賞はどちらもその人がいるだけで映画の重さや暗さを軽くして作品のトーンまで変えられる俳優さんが取ったのだと思った。


同じく助演女優賞候補になったジェシカ・チャステインも一人明るい役でした。脳天気スレスレだけど観客にバカにされることなく、同情されて愛される役を演じるのはきっと途方もなく難しいのだろう。


ジェシカ・チャステインといえば「ツリー・オブ・ライフ」でもなんかよくわかんない人でした。美人だし何か一生懸命考えてる風なんだけど、どこか外れてるんだよね。このわざとじゃない、外してるんでもない、「外れっぷり」が天然じゃなくて演技だとしたら、確かにアカデミー賞ものです。


ジェシカもそうだけど、この映画には往年のバービーのようなお人形のような美女が大挙して出演している。中でも最高最強に美しいのがブライス・ダラス・ハワード。「ヴィレッジ」と別人なのは髪のせい?


スキーターがバービー達と自分自身が属していた共同体を離れる決意を固める頃には、髪は再び彼女が生まれついた姿に戻っている。その髪に生まれだからこそ、彼女は一人違った道を歩んだのかもしれない。


実際、劇中スキーターの髪が周囲のバービー達と同様になるシーンがあって、その時だけ彼女もそこでの「普通」に近より、それが快適であると受け入れようとさえしているのだ。


スキーターがバービー達と自分自身が属していた共同体を離れる決意を固める頃には、髪は再び彼女が生まれついた姿に戻っている。その髪に生まれたからこそ、彼女は一人違った道を歩んだのかもしれない。


我が道を行くスキーターを演じたのはエマ・ストーン。彼女は「ゾンビランド」でも我が道をつき進んどりましたなあ。アビゲイル・ブレスリンちゃんを妹に従えて、とんと二物を得たふうらい姉妹でした。


エマ・ストーンの逞しさは生活力なのかな? うわ、物語的には彼女が主役なのに書くことってこれぐらいしかないや。主演賞でノミネートされたのがヴィオラ・デイヴィスだったのにもうなずけるね。


ヴィオラ・デイヴィスといえば「ナイト・アンド・デイ」や「完全なる報復」で偉い女性を偉そうに演じていたのが印象的だったんですが、子守の役でもやっぱり偉そうだったわ。ライス元国務長官とイメージ被る?


この時代を扱った映画にはジェイミー・フォックスの「Ray/レイ 」なんかもあるけれど、たった50年前にはこうだったという事は覚えておかなくてはならない。人は不当な扱いを受けたら、立ち向かうのだ。


問題は「不当な扱い」をしている側は全くそうとは思ってない点ね。そうすることが当たり前で、その方が社会のためになると信じているわけだから。このギャップを埋めることが難しくて、人間は苦労してるのよ。


それはまあ突き詰めて言えば、既得権を持っていると思っている者と、今は持ってないけど自分にもそれがあって然るべきと思った者との闘争になるわけです。


で、その持っている側から、今は持っていない彼らにもその既得権が認められていいんじゃないか、という意見が生まれてそれが趨勢を占めるようになった時時代が変わるわけね。


既得権を持っている側に持たざる者達への関心を向けるきっかけとなったのがスキーターの書いた本であり、その元となったエイベリーンや彼女の友達の告白だというのがこの作品のおもしろい所なのです。


言うなれば女性達のうわさ話や愚痴が世の中を変革させるきっかけになったわけですから。声高に論争し銃を取って戦うだけが革命の全てじゃないよと言ってるようなものですね。


しかし「女のお喋りが世界をより良いものにする」だけだとほとんど絵空事でファンタジーと同列に語られるのが現代社会でもあるわけで、それを避けるために後日談として各人が払った犠牲も描かれるのですよ。


その中で最も大きな犠牲を払ったと思われるのがエイベリーンで、だからこそ彼女を演じたヴィオラが主演女優ってことになるのでしょうね。犠牲がどれだけ大きいかを観客が知るのは、彼女の演技を通じてですし。


しか~し! この映画の中で最も華があって最も美しく、最も見応えがあって最もおもしろかったのは、エマでもヴィオラでもオクタヴィアでもなく、ヒリー役のブライス・ダラス・ハワードなのでした!


最近のブライス、「トワイライト」「ヒア・アフター」「50/50」と性悪街道驀進中だったんだけど、本作にして極めましたね! 自分がやってることを正しいと信じているのが一番厄介な性悪女です。


ブライスだとね、そういう、「自分が一番正しい」と信じて疑わない性格になったのもむべなるかなとスムースに思えるのね。だってあんな美人に何か言われて逆らえる人いないって。


女優陣の華やかさに比べて男優達に見るものがないのかこの作品の唯一の欠点かな? どの男も皆、妻の添え物的扱いでした。もうちょっと女性観客へのサービスがあってもよかったかも。惜しいわ。


この映画おすすめ! 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』2012年3月31日(土)ロードショー ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン