さて、音楽はおいといて「ミッションインポッシブル」本編の話。イーサン・ハントがキトリッジと交わす会話等に先日見た「裏切りのサーカス」で使われていた特徴的な単語が幾つも出てきたので、きちんと正統的なスパイものにのっとって作られていたんだなあと今更ながら理解したりして。
「ミッションインポッシブル」の監督はブライアン・デ・パルマ。物語上の必然ではなく、単に花を添えるためだけに女を殺しますね、この監督は。この作品では特にそれが顕著な気がする。「女は裏切る。だから殺す」って感じ。現時点で裏切ってなくても将来裏切るに決まってるから、やっぱり殺すのよ。
ブライアン・デ・パルマの場合は衝動がタナトスに直結してる感じなのよね。スリルを味わうというよりも、生と死のギリギリのはざまに身を置くことによって興奮を得ると申しましょうか。アドレナリンジャンキーというより死そのものに取り憑かれてる人よね。
だから「ミッションインポッシブル」のアクションの命がけ具合は、シリーズの他の作品の追随を許さない。よくもまあこんなこと思いついたわ、みたいなラストのアクションは何度見ても手に汗握ります。のど笛を切り裂かんと迫ってくるヘリのプロペラは、まるでジャック・ザ・リッパーのナイフだよ。