派手な世界観と小さなドラマ。脚本家が語る『TIGER & BUNNY』の魅力(ぴあ映画生活) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120925-00000000-piaeiga-movi


アニメーション映画『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』が公開中だ。“タイバニ”の愛称で知られ、熱狂的なファンが多く存在する人気作だが、満を持しての劇場版は、物語の“始まり”を描く作品になるという。なぜ、本作はそのような構成になったのか?脚本を手がける西田征史に話を聞いた。

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まず簡単に“タイバニ”の概要をおさらいする。本作の舞台は様々な人種や民族が集う巨大都市。ここでは“NEXT”と呼ばれる特殊能力者たちが、企業に所属してスーパーヒーローとして活動し、その模様をテレビ中継している。彼らが目指すのは、働きに応じて与えられるヒーローポイントで決まる年間ランキングのトップであるキング・オブ・ヒーローだ。シリーズは、ピークを過ぎたベテランヒーロー“ワイルドタイガー”こと虎徹と、新人ヒーローのバーナビー・ブルックスJr.のコンビが主軸となって進んでいく。

西田は「映画をやるとなった時に総集編”で行きますか?と相談を受けました。一応25話のすべてのエピソードを2時間にまとめてみたんですけど、駆け足ですべてのエピソードをやる意味を見いだせなかった。駆け足になることでキャラクターの感情も駆け足になることは納得できなかったんです」と振り返る。

そこで出た案は「これまでタイバニを観たことのない人のためにも最初に戻ろう」というもの。さらに冒頭のエピソードを繰り返すだけでなく、新たなドラマやシーンを追加した。本シリーズは、エピソードが進むごとに明かされるセリフや情報によって、人物の立ち位置や印象がガラリと変わる構成の巧みさが大きな魅力だが、西田は「シリーズでも意識したことだったんですけど、あるセリフを追加することで『実は前に言っていたセリフにはこんな意味があったんだ』と思ってもらえる展開が好きなので、本作も“見え方が変わる面白さ”はあると思います」と説明する。

ちなみに本シリーズを初めて接する観客に説明しておくと、本作はヒーローが主人公で、ダイナミックなアクションが随所に登場しながら、とても身近な人間ドラマを描くことで観客を魅了してきた。「アニメーションだけど『実際にこの人いるんじゃないの?』という人物造形をしていきたいですし、派手な世界観の中の“みみっちい話”にこだわって描いていきたい」と笑う西田は、「シリーズが始まる前から“ヒーローと正義感”については自然と出てくるものだから、自分ではもう少し落とし込んだレベルでキャラクターの苦悩を書きたかった」と語る。その想いはスクリーンに舞台を移しても変わらない。「初めてタイバニを観た人でもわかる。さらにずっとタイバニを応援してくれている人にも喜んでもらいたい。だから、ファンの方を裏切るような変な肉付けはしたくないですし、これからも、虎徹とバーナビーのキャラクターの本質は守っていきたいですね」。

『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』
公開中