『特撮博物館』を支えた修復師・原口智生、大盛況に「感無量」(オリコン) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120928-00000310-oric-ent


東京都現代美術館で開催中の『館長庵野秀明 特撮博物館』(10月8日まで)で9月29日、同展のミニチュアの修復を担当し、展示コーディネートも担当した原口智生氏が厳選した円谷特撮作品の特別上映会と、トークショーが行われた。原口氏は修復が完了したばかりで展示には間に合わなかった「宇宙ステーションV3」の模型を持参し、「(修復は)全部が難しかった」と振り返った。

展示中の万能戦艦マイティジャック号

 原口氏は館長の庵野秀明氏と同じ1960(昭和35)年生まれ。祖父が東宝の映画録音・サウンドミキシング技師であったことから、幼少期から東宝特撮の現場に入り浸り、撮影によって壊れてしまったミニチュア模型の残骸をもらい受け、それを大事に取っておいたという。「撮影用の模型は爆発炎上したり、飛ばしているうちにピアノ線が落下して壊れたり、すぐに処分されてしまうというのが当時の常識。それが残っただけでも奇跡なのだから、ここにこうしてあることは本当に素晴らしいことだと思う」。

 中でも展示の目玉でもある全長3メートルのマイティジャック号は、「昨年の東日本大震災で千葉県銚子の工房が大きな被害に合う中、奇跡的に難を逃れた」と原口氏。「生きているうちに絶対、マイティ号の撮影用模型の修復をして、それを大勢の人たちに見てもらいたいと、庵野さんと飲みながら話したことが、広がって、今回の『特撮博物館』で結実した。特撮ファンはもちろん、特撮を知らない子どもたちもたくさん来てくれて、感無量」と語っていた。

 原口監督は、1984(昭和59)年に特殊メイク造形工房を立ち上げ、映画を中心に北野武監督作品や平成ガメラシリーズ、『パコと魔法の絵本』(2008年)など多数の造形メイクを手がけるほか、映画『さくや妖怪伝』(2000年)や中部日本放送・TBS系『ウルトラマンメビウス』(2006年4月~2007年3月)の監督も務めている。

 今回、原口氏が特撮の世界にのめり込んだきっかけとなった円谷作品の中から、『ウルトラセブン』第13話「V3から来た男」、『怪奇大作戦』第3話「白い顔」、『戦え!マイティジャック』第12話「マイティ号を取り返せ!(前編)」の3本を上映。「特撮技術はもちろん、ドラマ性にも優れているのが円谷作品の魅力」と熱い思いを語る一方、「ミニチュア特撮の良さも取り入れながら、新しい映像を作っていけたら」と意欲を示していた。