「009 RE:CYBORG」を見て来た。私は長年の「009」ファンなので。でも、残念ながらというか危惧した通りというか、この「009」は全然別物だった。キャラクターデザインのことじゃない。原作の、石の森章太郎の描いた作品世界がまるで踏襲されていないからだ。
「009 RE:CYBORG」はそもそもタイトルからしてカナダの傑作SFドラマ「リ・ジェネシス」の真似っぽかったのだけど、作品世界全体も洋画の下手なパロディみたいだった。「スパイ大作戦」が「ミッション・インポッシブル」になったというより、「007」が「ボーン」に変わった、的な。
「007」が全世界にイメージさせたスパイ像を「ボーン・アイデンティティー」がくつがえし、スパイというものをより現代的でリアルなものに変えたように、新「009」は旧「009」の世界観を現代に沿うように再構築する事を狙ったのかもしれないが、残念ながら「ボーン」には及びも付かなかった。
何故「ボーン」かというと、新「009」では冒頭ジョーが昔の記憶を失っているからだ。ジェイソン・ボーンも記憶喪失となって海から拾われているので共通点といえよう。でもボーンには失われた記憶を取り戻そうという気概があったけれど、ジョーは腑抜けになっただけだった。
では記憶を取り戻したジョーはどうかというと、やっぱり腑抜けのままだった。というより、彼には魂が宿っていない。ジョーだけじゃなく、サイボーグ全員に。サイボーグというより顔ばっかり綺麗なマネキンの集団が乏しい表情のまま戦闘シーンに混じっている……そんな作品だったのだ。
とにかく脚本、セリフ多すぎ。キャラ全員、気取りすぎ。フランソワーズの服エロすぎ。ジョーのダッフル目立ちすぎ。
「ボーン」や「007」を意識してなのか、世界各国に飛びすぎ。そして大都市破壊しすぎ。アニメーションだからこそできる表現というのはわかるけど、だからってそればっかりじゃね。ちなみに上海は「MI3」、ドバイは「MI4」、ベニスはダニエル・クレイグの「カジノロワイヤル」に出てきました。
大都市を幾つも破壊して、各国の組織の略称ばかりてんこもりにした台詞を語らせても、ストーリーはないに等しい。虚飾と虚仮威しを取り去ると、結局この作品でやりたかったのは「009」の一番有名なシーンの焼き直しでしかなかった。ただそこに監督の主張が入り込んでるので原作とは違うけれど。
それにしてもピュンマ出番なさすぎ。というか、ムリにでもメインキャラ全員を出さなきゃいけないなら、活躍シーンをちゃんと用意しとくのが礼儀ってものだろう。一応、伏線というのか重要な証拠を手に入れたという役どころだけど、それピュンマの能力と全く無関係だから!
ところで「009 RE:CYBORG」見ながらピュンマ役を実写でやるならサミュエル・L・ジャクソンがいいなと思ったのだけど、それだと出番少なくてもシーン全部もってっちゃうからダメだなあと思って自主却下(←どういう日本語?)。代わりにジェイミー・フォックスならいいかな?
「009 RE:CYBORG」のジェロニモ見てたら実写だったら絶対マチェーテおじさん(ダニー・トレホ)だな、と思った、人種違うけど。んでハインリッヒはドルフ・ラングレンでしょうか(でかすぎ?)。張大人は、あの動きはサモ・ハンじゃなくてジャッキー・チェンだなと。
ジョーは前髪のかかり具合や色からいっても「るろうに剣心」の佐藤健くんでピッタリだと思う。エロいフランソワーズはマリオン・コティヤールでいいけど(何その「でいい」って)、その実写作品では003は009の半径10m以内に立ち入るべからずだわ。おまーは目と耳だけ使っとりゃえーんじゃ~!
イワン役には謹んでダコタ・ファニングちゃんを推奨します、性別違うけど。5才ぐらいのダコタちゃんにあのイワン演じさせたらぴったりだったんじゃないかねー。改造手術も受けてないのにほとんど不老不死で、そのワリには存在感の薄いギルモア博士には誰がいいだろう? スタンリー・トゥッチ?
愛すべきグレートにぴったりな人はこないだ見た「アルゴ」に出ていたアラン・アーキン。頭の形とかそっくりだわ。思いつかないのがジェット。飛んでる姿はアイアンマンに似てたけどロバート・ダウニーーJr.って感じじゃないし。アレックス・ペティファーとか雰囲気似てるかな。
まあそれにしてもつまらない映画だった。この前これだけおもしろくない映画を見たのはいつだったろうと思ったけれど、全然思い出せなかった。面白くなさ過ぎて記憶から自動的に消去されてしまったらしい。内容は忘れてめでたいけど、タイトル忘れたらもう一回見てしまう危険があるので困るなあ。
あっ、思い出した! 最近つまらなかったのは「推理作家ポー 最後の5日間」よ。でもそれでも「009 RE」よりはマシだったなあ。キャラクターが生きてたもんね。彼らは自分が何をしたいのか、何をなすべきなのかちゃんと心得てた。009達は出てきてかっこつけてただけだったもんね。
えーと、それから「バイオハザードV」。これは見たんだけど、話が全く思いさせない。というのも話らしい話がなかったから。「009 RE」はこれに近いな。でも迫力とキャラの魅力は「バイオハザードV」の方が格段に上。といいつつ、話が思い出せない……。
おもしろかったのは「アルゴ」「モンスターホテル」「新しい靴を買わなくちゃ」、あと「天地明察」もなかなかよかったです。「エクスペンダブルズ2」は字幕と吹き替え両方見て、両方気に入ったわよ。次は吹き替えでもう一回見よ♪ でもジェット・リーの出番、少なすぎ~~!!!