ブルース・ウィリスが「ダイ・ハード5」に先駆けて「息子」のいる役を演じている「シャドー・チェイサー」。主役はその息子の方のヘンリー・カヴィル。
ヘンリー・カヴィルといえば「インモータルズ 神々の戦い」の主役、テセウスであり、また次のスーパーマンとしてつとに有名ですが、どーもなんとゆーか、すんげー実力を持ってる父親の事をよく知らないまま育った息子で、実は父の才能を豊かに受け継いでいるんだけど本人それに気づかないまま周囲に踊らされる……みたいな役が似合うのでしょうか。うん、「シャドー・チェイサー」ってそんな話だったの。
しかしこの映画、ヘンリー・カヴィルにブルース・ウィリス、シガニー・ウィーバーまで揃えといて、登場人物に誰一人魅力がないというとんでもねー作品でした。皆様心にゆとりがなかったせいでしょうか。人物像が薄っぺらいというわけではなく、ただ、こう、観客として見ていて応援する気になれないんですよね。観客として見ていて、キャラに共感できる部分がないと申しましょうか。
だってつまんないんだもん、あんた達(=登場人物全員)。
別に笑いを取れとは言いませんが、もうちょっと人間味を感じさせてくれてもいいのでは。敵方の皆様あまりに黙々と「仕事」をすすめるものだから、なんだか見てても興奮しない。機械的に「仕事」を処理してるだけの連中見ててもつまらないのです。これに比べると「ザ・レイド」の殺伐さが人間味の一種だと感じられる程。それに「ザ・レイド」では「仕事」ぶりがスタイリッシュだったのでそれだけでも映像的にインパクトあってひきつけられたのに対し、「シャドー・チェイサー」の場合、物語の進行上やむなくではあるにしろ、ちょっと雑なのよね。
そんな映画の中での一番の見どころはというと、それはやはりシガニー・ウィーバーでしょうね。リプリー、相変わらず、アンタちょっとやり過ぎ。ま、そこがいいんだけど♪
それにしてもこれだったらまたデンゼル・ワシントンと「ライアン・レイノルズ」の「デンジャラス・ラン」の方がおもしろかったな~。まだしもこっちのキャラの方が魅力的だった。
「シャドー・チェイサー」って、例えば父親がいつのまにか多額の借金作った挙げ句ある日突然出奔し、呆然としてるところに借金取りが押しかけてきて「今すぐ全額返せや。さもないと……」と刃物ちらつかせて脅してきた、なんて経験ある人だったら感情移入できるのかも。そうじゃなくても何かしら親の代の負債を背負って生活している人とか。幸いにして私はそうじゃないので、この作品のサスペンスの心髄を味わえなかったのかもしれません。
まあ、そんなスリル、味わいたくないし。
自分が幸運であることに感謝しよっと。