「3Dを研究し尽くした映画」立体視のエキスパートが高評価する作品とは?(ぴあ映画生活) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130118-00000001-piaeiga-movi


ジェット・リー主演の3Dアクション・アドベンチャー映画『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』が現在公開されている。本作の最大のポイントはやはり“3D映像で観るリーの華麗なアクション”だ。しかし、肝心の3Dのクオリティが低いと楽しさは半減してしまうだろう。そこで3D映像のエキスパートとして著書もあるイマジカの3Dスーパーバイザー、灰原光晴さんに作品を観賞してもらった。

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本作は、明の時代の中国を舞台に、凄腕の義士ジャオ(リー)らが300年前に消失したとされる幻の財宝都市をめぐって壮絶な戦いを繰り広げる様を描いた超大作。長年、3D映画の制作を望んでいたツイ・ハーク監督がやっと実現させた3D映画だけあり、立体の効果を駆使した活劇・格闘シーンがたっぷりと盛り込まれている。

まず、灰原さんは「この種の映画を3Dで撮影すると、アクションシーンで使用したワイヤーを消すのが大変だと思うんですけど、それがキレイに処理されていて驚きました。質的に高い映像になっていると思います」と言い、「2D映画のアクションだと、手や足の位置を少し動かしてパンチやキックを“あてるフリ”をして撮影できますけど、3Dだと奥行きがあるので“フリ”であることがわかる場合があります。でもこの映画ではカットごとに構図を工夫することで、3D撮影をしながら、しっかりとパンチやキックが当たっているように見えている」と分析する。

ちなみに、3D映像では短いカットが連続すると観客の目がその度に画面の構図を捉えなおすため、“立体感”を感じにくくなるが、灰原さんは「この映画のアクションは、ストップモーションやスローモーションをうまく使うことで立体感が損なわれないような工夫がなされていましたね。それに速い動きは通常の3Dでは見えずらいんですが、この映画は速い動きでもしっかり見えていたのは驚きました。アクションの作り方や撮り方をかなり研究して撮影したのではないでしょうか」と予想する。

「技術には限界がないので、撮影方法も少しずつ進歩していく」と語る灰原さんは「作り手が模索することで、常に新しい演出や見せ方が出てくる。この映画はワイヤーアクションをここまで3D映像で見せたのは本当に画期的なことだと思う」と言い、「この映画は、水中シーン、高度を感じる俯瞰のカット、洞窟のシーンなど“3D撮影に向いている”シーンが全部入っている映画。そういう意味では“3D”というものを研究し尽くして撮影された映画だといえると思います」と語った。

『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』
公開中