ミュシャ展は今日が最後。
Who killed Cock Robin?

お土産売り場は3階に降りてからの方が空いてますよ!(なんのこっちゃ)



ミュシャといえばイメージはこちらですよね。
Who killed Cock Robin?

私はミュシャが好きで、日本でこんなに知名度が上がる前の展覧会に高校帰りに学生鞄(当時はスクバなんつー言葉はなかったぞい)ぶら下げて見に行ったことがあります。それはもう、今を去ること○十年も昔に。その頃はミュシャの展覧会でも人は少なく、一枚一枚たっぷり時間をかけて見ることができたものです。


で、今回改めて見て思ったんですが……ポスター類はかなり褪色が進んでいるんじゃないかと。


油彩はいいんですよ(今回もたくさんあります♪)。


でも有名なJOBのポスターとか、サラ・ベルナールの劇場ポスター群とか、「あら? 随分色が薄くて色調が平板じゃない??」と思っちゃったりして。


むろんそれはそれでキレイなのです。わび・さびとか枯山水好みの日本人にはむしろこっちの方がしみじみくるかも。


でも原色好きの私としては、何か違うな~、と。

「あれっ? ミュシャってこんなんだった???」

ってイメージを受けたんですよね~。

いくらミュシャが中間色を好んだからといって、こんなにかそけき色合いだったらポスターとして弱くね? みたいな。


その後3階で見た日本製のお土産グッズはどれも今回の展示品のくすんだセピア調な色合いを忠実に再現しておりますので、全体的にいぶし銀のような印象を受けました(つまり妙に渋好みなイメージ)。


う~ん、ミュシャってこんなんだったかな~???

昔、美術館で買ったポスターはもっと色調がはっきりしてたと思ったけど(そのポスターは実家が火事にあったため今はもうない)。


念のためにPCでチェックすると、やっぱりもっとくてはっきりしております(こちら )。


今回の展覧会でしかミュシャを見たことない方は、PCや画集などでもう一度色を見てみるのもよいかもしれません。たぶん、目からウロコが落ちたような気分になりますよ。



さて、今回森タワーの美術館に初めて入ったのですが、なんとここにはロッカーがない! PCを持ち歩いているワタクシは心じゃなくて体が折れそうになりました。いや、普段行く美術館にはどこも100円があとで戻ってくるロッカーがたくさんあるので、大体荷物をほーりこんでお土産用にお財布だけ持って絵を見るのに没頭するのが常だからその日もそのつもりだったのですが、ぬかったわ~~~! 


で、中に入ってみると……ははは、こないだ見たフランシス・ベーコン展とはまるで客層が違うわ。ベーコン(食べ物じゃないよ)の方は如何にも美術通、みたいな人が眉根を寄せつつ静かに観覧していたけれど、こっちはデート客率が高くて、それと何故か女子中・高生風のグループも多いのね。なんか、あんまり集中できないんですけど、それはミュシャのポスターの色が薄いせいばかりじゃないわよね。ってゆーか、わりと前にも見たものばっかりだからしょーがないか。肩にくいこむショルダーバッグのストラップが痛いし。


高校生の頃に初めて見たミュシャは鮮烈だったな~。

今日、たくさん来ている女子中・高生の皆さん、いい体験ができればいいね♪ 美を愛でる目があれば、心を豊かにすることができるからね♪


等と思いつつ駆け足でポスターの間を通り抜け(この後に用事が控えていたのであまり時間がなかったのです)、油彩の間に。


でも実は油彩も結構見てるのよね~~~。ミュシャ自身が描きたいと思ったものは油彩がメインなので見応えはあるんだけど、私自身がスラブ民族に関する知識を決定的に欠いているのでピンとこないというのがいけないのですわ。無知でゴメン、ミュシャ。


今回一番興味深かったのは、ミュシャがモチーフに用いたというスラブの民族衣装の展示。刺繍もレースも織物も素晴らしく、それをミュシャが絵画にきちんと描いていたことが分かる展示もあって大満足でしたが、何よりも感動したのは絵の中でふわっと広がっている袖の作りがどうなっているのか子細に観察できたこと。幅5㎜ぐらいのひだが丹念に折り込まれていて、どれだけ手が込んでるんじゃー! とビックリ仰天しましたわ。お洒落に対する女性の気持ちは執念に近いものがあると実感、及び共感いたしたものでございます。


全然関係ないですが、油彩の中にシャーリーズ・セロンそっくりの女性が描かれておりました♪ ミュシャは自分の子ども達をモデルに使っていて、その写真なども展示されておりましたが、お嬢様もおぼっちゃまも超絶美形! そりゃモデルにするわ~と思ったりして(ミュシャ自身もかなりのハンサムだったと思われる写真アリ)。


ミュシャが自身の娘をモデルに使った作品には祖国や民族への強い愛をうたった物が多かったです。日本では「ミュシャ」として知られていますが、彼自身は祖国の言葉の発音である「ムハ」と呼ばれることを望んでいたとか(でも日本で「ムハ」と書いてしまうと「ハム」と間違えそうだし、語感もあまりよくないのよね)。


今回の展示で彼の民族愛の発露が一目でわかたったのは、映像でのみ紹介されていた彼の絵による聖ヴィート大聖堂のステンドグラスでしょうか(そりゃ展示しようにも持って来られないもんね)。


なにしろ巨大なものなので全体像は縮小だったのですが、幾つか大きく紹介されているものもあり、それだけでも充分荘厳な気分を味わえるものでした。


いつかは現地、プラハに行って本物の投げかける光の下で我を忘れてその美しさを味わいたいものだと思ったものですが、なんと、私がブログで親しく(一方的にかもしれないけれど)させて頂いている謎のこうのとりさんが先日彼の地を訪れ、聖ヴィート大聖堂のステンドグラスも見事に写真に収めてブログ記事にアップしてくださってました!


お許しを頂いたので、ここで謎のこうのとりさんの素晴らしいプラハ旅行記 を少しだけ紹介させて頂きます。

プラハ 大聖堂という名の森

プラハ ステンドグラス


謎のこうのとりさんの旅行記はいつも美術ファンには垂涎の的で、私もこれ読んでプラハやベルリンにはいつか絶対行ってやる! と決心しましたもんね。


絵というものは、それを描いた画家の魂の叫び。ムハの「スラブ叙事詩」はプラハで見てこそかもしれません。私も謎のこうのとりさんに習ってその場でこの目で鑑賞したいと強く思いました。


彼の地では展示されているポスターも色がキレイなそうですし、これは絶対行かなくっちゃね! 


これからミュシャ展が巡回する地域の皆さん、皆さんが目にするミュシャは本物には違いありませんが、色は百年前のものだということをお忘れなくね!