「スター・トレック」J・J・エイブラムス監督「家族や仲間がいれば…」(産経新聞) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130824-00000115-san-movi


映画「スター・トレック イントゥ・ダークネス」が公開中だ。1960年代の人気ドラマを再構築した新シリーズ第2弾で、2009年版に続き、J・J・エイブラムス監督がメガホンをとった。シリーズ初の3D作でもある。エイブラムス監督は「昔からのファンも、そうでない人も楽しめる作品」と語った。(橋本奈実)

 未知の生命体が共存する宇宙を舞台に、宇宙船エンタープライズを率いる主人公カーク船長がさまざまな試練に遭遇する。地球を危機に陥れた敵と戦い、家族同様のクルーとの信頼関係が揺らぐ“内なる戦い”も描かれる。

 「クルーたち-、特に若くしてリーダーとなったカーク船長に、本当にキャプテンの資格があるかを問う試練を与えたかった。カークがどれだけ自己犠牲を払えるのか、を軸にした」

 監督の思うテレビシリーズの魅力は、カーク船長やスポックら個性的な登場人物と、彼らの強い絆。前作同様、その精神を踏襲しつつ、衣装やセット、映像技術、会話のリズムや間などを“現代化”させた。

 「たとえばテレビシリーズのクルーの制服も今見るとパジャマみたい(笑)。ユーモアも古い。今の我々が納得するものにした」

 今作は、カーク役のクリス・パインら前作の主要メンバーに、悪役でベネディクト・カンバーバッチらが新たに参加。ベネディクトには「ケタ外れの存在感と技術」があった。それは同業者も認めるところ。「だから彼がいると、他の役者が『彼の前でいい芝居がしたい』と気負ってね。以前、少女の女優に気に入られようと少年役の子たちが頑張っていた雰囲気を思い出した」と語る。

 カーク船長は失った船長の座と、家族に等しい仲間の信頼をいかに取り戻すか-。SF作ではあるが、現代に通じるテーマだ。監督は昨年に母を病気で亡くした。「喪失感がありました。悲劇が起きたとき、人はどう乗り越えていくのかという思いが、ずっと自分の中にあった」

 この映画の米国公開時、ボストンマラソン爆破事件が発生。日本の震災など、世界各国で起こる災害や争いにも寄り添う作品と感じている。「家族や仲間がいれば、困難を乗り越えられる。乗り越えたときには、絆はより強くなるというメッセージを込めています」