エヴァのルーツ!?伝説の近未来小説を完全映画化「エンダーのゲーム」(産経新聞) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140103-00000541-san-movi

伝説の近未来小説が完全映画化された。長い間、映像化は不可能とされてきた「エンダーのゲーム」で、18日に全国公開される。ギャビン・フッド監督(50)は「コミュニケーションの重要さがテーマ。人類普遍の問題だ」と話している。(櫛田寿宏)

 原作は1977年、米国のSF雑誌に発表されたオースン・スコット・カード(62)の短編小説。長編化した作品が85年に出版され、翌年の続編とともに SFの権威「ヒューゴー賞」と「ネビュラ賞」を2年連続ダブル受賞した。苛烈な戦況下に生きる10代の葛藤と成長が描かれているが、これは日本で制作され た多くのアニメのテーマでもあり、小説が多大な影響を与えたとされている。

 映画の舞台は、半世紀前に昆虫型異星生命体フォーミックによって激しい攻撃を受けた未来の地球。数千万人の犠牲者を出したその戦いを終結させ地球を救ったのは、メイザー・ラッカム(ベン・キングズレー)という一人の英雄だった。

 フッド監督は「この状況は第二次世界大戦後の状況と似ていると思う。映画と現実を結びつけては話せないが、過去に原爆を投下された日本人は私より語る言葉を多く持っているかもしれない」と指摘する。

 地球人は国際艦隊を組織し、フォーミックからの次の攻撃に備える。訓練長官のグラッフ大佐(ハリソン・フォード)が地球の命運を握る戦士として白羽の矢 を立てたのは、10歳の少年、エンダー(エイサ・バターフィールド)。エンダーは世界中から俊英を集めたバトル・スクールに入り、高度な訓練を受ける。

 監督はバターフィールドの演技の中で、戸惑いの表情を高く評価する。「非常に知的なエンダーは、やさしい心、寛容な心を持っている。その一方でとても攻撃的な性格でもある。単純な善人でも悪人でもなく、心の中にはいつも葛藤があることを表現している」と話す。

 監督が生まれ育ったのは南アフリカ。白人が非白人を差別するアパルトヘイト(人種隔離)政策が長くとられ、70年代から80年代にかけては激しい反アパ ルトヘイト運動が繰り広げられた。「非常に混沌(こんとん)とした状態だった。私自身も81年に軍隊に入った経験があり、意見や立場の対立を間近で見たん だ」。この経験があったからこそ、本作が作れたと振り返る。

 南アは昨年12月に死去したネルソン・マンデラ氏が中心となって旧白人政権との対話を続け、民主化を実現した。「対話をしたから最悪の内戦を避けることができた。一時期、南アは希望を失っていたけど、取り戻すことができたんだよ」

 エンダーは常に問題意識を持ち、なぜ、なぜ、と大人に問いかける。その疑問は人類を救った英雄のラッカムにさえも向けられる。「たとえ敵に勝ったとして も、その勝ち方が問われることだってある。戦略的に正しいかどうかがね。そういうことを意識している少年がエンダーなんだよ」