「オンリー・ゴッド」名女優クリスティン・スコット・トーマスが恐るべき悪母に(映画.com) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140122-00000010-eiga-movi


]「ドライヴ」で世界的な注目を浴びたニコラス・ウィンディング・レフン監督の新作、「オンリー・ゴッド」のクリスティン・スコット・トーマスには、誰もが度肝を抜かれるに違いない。彼女のこれまでのイメージからはかけ離れた、ドラッグ売買を牛耳るゴッドマザーにしてライアン・ゴズリング扮する息子を精神的に虐待する母親に扮しているのだ。“ブリングリング”なコスチュームに本人は「居心地が悪かった」そうだが、その迫力はさすが名女優。そのキャラクター作りについて語ってもらった。(佐藤久理子)

【動画】「オンリー・ゴッド」予告編

――監督があなたにこの役を頼んだきっかけのようなものはあったのでしょうか。

「いいえ、わたしにも不思議だったの。彼に尋ねてもはっきり教えてくれなかったわ(笑)。とにかく脚本をもらって、とてもユニークなストーリーだからまず彼の作品を見ようと思った。それで「ブロンソン」を見たら、とても感動的で繊細な映画で、すごく心を動かされた。その後ニコラスに会って話が決まったの。彼は本当にエキセントリックな監督よ(笑)」

――どんな風に役作りをしたのですか。

「エキサイティングだけど、同時に萎縮するような経験だった。ちょうどある雑誌のファッション撮影でドナテラ・ヴェルサーチ風の派手な衣装をまとうことがあったの。ストリートで撮影していたら道行く男性たち、それも見かけはふつうの人たちが、ものすごく下品な野次を投げかけて来た。とてもショックだったわ。その体験によって、女性が何を着るかという選択、それもクリスタルのような装いを選ぶのは、まるで男性に対する闘争行為のようだと思えた。でもクリスタルは何も恐れないから、それが相応しい。わたしにとっては居心地が悪かったけれど、ニコラスはとても気に入ってくれた(笑)」

 舞台はタイ。最愛の長男が殺され、マイアミからクリスタルが駆けつける。彼女は次男(ライアン・ゴズリング)に復讐を促すが、ふたりの前に「神」を自負する刑事が立ちはだかる。愛憎に満ちた母と息子の精神的なSM関係が、不条理で残酷な物語にいっそう鮮烈な色を添える。

――レフン監督によれば、「ドライヴ」は愛についての映画で、「オンリー・ゴッド」は、男性にとって困難な母親との関係についての映画だとか。あなたはこのストーリーをどう思いましたか。

「ストーリーはそのことを語るための口実にすぎない気がするわ。それにこれは男性の視点から描いたもの、まさにニコラスの視点よ。わたしにとってはある種タブーを探求する物語に思える。クリスタルは悪魔のような母親で、すべての男性にとって恐ろしいと思うものの象徴。映画によっては、自分の想像とまるで違うところに着地することがあって、自分自身も思い描いていたのとは違う動物になっていることがあるの。わたしはそういう経験が好き。この映画もそう。映画を見て、隠されていた悪夢の世界に誘われるような印象を受けた。とてもユニークで怖い体験だったわ」