ベテラン声優・玄田哲章、「僕の中にはなかった世界観」レゴムービーに大興奮(クランクイン!) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140320-00029996-crankinn-movi
全世界で親しまれているブロックおもちゃのLEGO(レゴ)が映画になった。世界のすべてをレゴで作成したレゴワールドを舞台に、個性豊かなキャラクターたちがところ狭しと大騒動を繰り広げる史上初のレゴアドベンチャー、それが『LEGO(R)ムービー』だ。本作に吹き替えとして参加するのは、森川智之、沢城みゆき、山寺宏一、羽佐間道夫、そして玄田哲章といったそうそうたる顔ぶれである。前代未聞のレゴムービーの吹き替えに挑戦した感想やレゴに対する思いを、バッドコップ/グッドコップ役を演じた玄田哲章に聞いた。
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「いや、すごかったね。レゴというものを飛び越えて、キャラクターが生きているような感覚でしたよ」。
試写会で本作を見終えたばかりの玄田は、興奮冷めやらぬといった様子で本作のファーストインプレッションをそう語った。全編レゴで構成された本作は、まさにタイトル通りの“レゴムービー”。超ベテラン声優の玄田にとっても、レゴキャラクターの吹き替えはもちろん初めての挑戦だった。
「僕の中にはなかった世界観でしたね。レゴとしてのおもちゃ感もしっかりあるんだけど、それを超えたものが出てくる出てくる! 映画を見て、レゴは無限の可能性を秘めたアートだなと思いました。これを撮るのにどれくらいかかったんだろうって思いました。どうやって撮っているのか、メイキング映像が見てみたいです」。
玄田が驚くのにはワケがある。声優は映像を見ながら音を入れていると思われがちだが、実際はそうでないことも多々あり、今回も玄田は色も音もない真っ暗な映像を相手に声を入れていたのだ。さらに収録は個別録りなので、他の声優の声は聞こえない。そんな状態だったからこそ、完成したレゴムービーに玄田は大いに驚かされたのだ。
「映像が3Dだったのがまたよかったね。ぼくは3D映画は数多くは見ていないんですが、それらともまた違った感じで、飛び出してくるのが違和感なく素直に見られた。これはぜひ映画館で、できれば3Dで見て欲しいですね。それにやっぱり、吹き替え版が良いね(笑)。今回は8人の声優で200キャラを演じたわけだけど、今日初めて聴いて、すごい! って思いましたよ」。
特に玄田が印象に残っているのは、冒頭のシーンだ。主人公のエメットが自室で目覚め、軽快なBGMにのって朝の準備を整え、出勤していく。このテンポの良さに、玄田はいきなり虜になったのだという。
「流れるリズムが心地よくて、楽しくなる。そういう気持ちにさせられるのがすごいですよね。これ面白いなって思わされました」。
玄田が演じたのはバッドコップ。本編の悪役であるおしごと大王の部下で、主人公のエメットを追い詰めるいわば悪の手先だ。一方で、気弱で善の心を持ったグッドコップとしての面も持っており、劇中ではバッドとグッドの顔がくるくると入れ替わりながら葛藤を繰り返す。
「オーディションのときは(性格や声色が入れ替わることを)よくわかっていなくて、本編に入って録り始めてから知ったんですよ。だからそんなに苦労するとは思っていなくて(笑)。実際にはバッドはバッド、グッドはグッドで別に収録したから、切り替えながら録ったわけじゃないんですけどね」。
善は善、悪は悪という明確な立ち位置のキャラクターが多い本作だが、バッドコップだけは一人の中に二つの人格を持っている。玄田はそんなバッドコップについて「誰にでも天使と悪魔の顔はある」という言葉で表現する。
「バッドコップの上には権力者がいて、彼の命令には逆らえない。それは周りから見ると残酷な任務かもしれないけど、バッドコップ自身も職務に忠実に、一生懸命やっているんですよね。でも、それがダメだというグッドコップの声もあって、そこで心が揺れている。それって人間でもそうですよね。はっきりしていないし、板挟みになって悩む。バッドコップを見ていると、現実を見ているキャラクターだなと思いますね」。
『LEGO(R) ムービー』というと子ども向けにも思えるが、本作は実際には大人にも刺さる部分が多い考えさせられる作品だ。二面性を持ったバッドコップはその意味で、もっとも現代人の悲哀を象徴しているといえるかもしれない。バッドコップのようにいくつもの顔を使い分けながら生きていく――そんな現代人に向けて、玄田は次のようにアドバイスする。
「人生には、いろんなことがあると思う。けれど、そこでいろんな人と出会っていろんなものを吸収して、何とかみんな生きている。たとえば相談できる相手がいたり、逆に相談を受けたらアドバイスしてあげたり、人と人をつなぐ心の部分が大切だと思いますね」。
つまらない映画はすぐに寝てしまうという玄田だが、本作は「最初から最後まで楽しく鑑賞した」と満足げだ。「新感覚ですよね。こんな作品が世の中にあるんだって嬉しくなりました。ぜひ劇場に足を運んでもらって、楽しんでほしいですね」。
子どもだけでなく、子どもと大人が一緒に楽しめる世代を超えた『LEGO(R)ムービー』。ぜひ映画館で、そしてできれば3Dの吹き替え版で、声優陣のボイスを堪能してほしい。(取材・文・写真:山田井ユウキ)
『LEGO(R)ムービー』は3月21日より全国ロードショー 3D/2D同時公開。