夏の定番「ホラー映画」のテレビ放送が減ったのはなぜ?(クランクイン!) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140726-00031960-crankinn-movi

夏の風物詩のひとつといえば、やはり怪談やホラーだろう。だが、ホラー映画の劇場上映はよく見かける一方、地上波テレビでのホラー映画放送は、ほとんど目 にしなくなってしまった。そもそも、映画放送の枠自体が少なくなっていることもあるが、ここまでホラー映画をやらなくなったのは、なぜなのだろうか。関係 者に聞いてみた。

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 まず、過去にどのようなホラー映画がテレビ放送されていたかというと、日曜洋画劇場(テレビ朝日系列)で『13日の金曜日』、金曜ロードショー(日本テ レビ系列)で『バタリアン』、ゴールデン洋画劇場(フジテレビ系列)で『エルム街の悪夢』、木曜洋画劇場(テレビ東京系列)で『サスペリア』『ゾンビ』な ど軒並みテレビ放送されたのを筆頭に、『チャイルド・プレイ』『遊星からの物体X』『死霊のはらわた』『サンゲリア』など、怖すぎるホラーが並ぶ。今でこ そ、よく地上波放送できたものだと思うが、80年代~90年代はホラー映画のテレビ放送が自然だった。

 「テレビ局側での(自主)規制に拠るところが大きいと思います」と映画関係者は話す。「社会的事件が起こるたびに、ホラー表現が犯罪者心理に及ぼす影響 が深く語られることなく、ホラー映画はやり玉に挙げられてきました。その結果、ひとくくりに“悪”とみなされたホラー作品は、テレビから姿を消してしまっ た。また、テレビ局やスポンサーは、いくら視聴率が取れたとしても、クレームや抗議というものに過剰に反応します。そうなると、敢えてホラー映画をテレビ でやる意義が感じられないのかもしれない」。

 さらに、ホラー映画では、セクシーなシーンが定番のひとつだが、「以前に比べ、テレビ局は裸体のシーンなどにも自主規制をかけている」と関係者が話すよ うに、このセクシーシーンがゴールデンやプライムタイムの時間帯はもとより、深夜帯でのホラー映画の放送が減っている一因となっている。


 そして、80年代~90年代と圧倒的に違うのが、テレビ局が映画製作に積極的に乗り出したという点だ。いわゆる、テレビ局映画の増加。2013年度の邦 画興収トップ10を見てみても、テレビ局が製作員会に入っていない作品は1つもない。それほど、テレビ局映画は増えているのだ。

 「テレビ局が映画の製作や出資に絡んでいるということは、もちろん、テレビでのオンエアも、テレビ局の映画が優先されることになります。だからこそ、ド ラマのスペシャル版のようなものから、スピンオフもの、オリジナルのものまで、テレビ局の映画は多岐に渡っても、その多くの場合がテレビでのオンエアを前 提とし、万人に受け入れられるであろう、マスを意識した作品になることが多い。結果、振り切った作品は敬遠され、“ホラー”というジャンルがテレビ局主導 で積極的に作られないという状況も、テレビでホラー映画を観る機会が減った要因のひとつ」。

 最後に、関係者はこう口にする。

 「一般社会に受け入れられるにはちょっと分が悪いホラー映画ですが、ホラー映画とひとくくりにされてしまうことで日の目を見ない作品も増えており、市場 縮小・文化縮小にも繋がりかねません。暑い夏に、皆でこわーい思いをするホラー映画がオンエアされることも楽しみの1つとして許容できるくらいの社会が健 全なような気がします」。

 さぁ、テレビ局さん、深夜からでもホラー映画を増やしてみます?