私は好き 派!
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もちろんホラー映画は大好きです。
何をもって「ホラー映画」というかにもよりますが、普通は「超自然」の現象によってひきおこされる恐怖を描いている作品がそう呼ばれると思います。「超自然」の中に「宇宙人」まで含めちゃって「エイリアン」や「遊星からの物体X」をも「ホラー」扱いされるのはちょっとどうかと思いますが。厳密には「SF」だと思うのですが、「SFホラー」という呼び方もありますしね。
また「ホラー映画」というのは限定された空間で起こる逃げ場のない恐怖を描くものだ、という定義もあるらしいです。そうすると「ソウ」シリーズみたいな残酷な殺人描写をメインとする作品も「ホラー」の範疇に入ってくるわけですね。まあ、「ソウ」に関して言えば下手なホラーよりよっぽど恐いですが。
世の中には自分が「恐い」思いをした作品を何でも「ホラー」だと言う人がいるのですが、こういう人に限って「恐いから」と「ホラー映画」をほとんど見てなかったりするのですよね~。「ブラック・スワン」を「心理ホラー」とかワケわかんない呼び方する人には頭抱えたものですわ。確かにあれも恐いけどさ、「心理サスペンス」とか「スリラー」でいーんじゃないの? 何でもかんでも恐けりゃホラーかよ、とホラーファンは毒づいたのでした。
さて、古典的な「ホラー映画」にば怪人がつきものでしたよ。「オペラ座の怪人」とか「狼男」とか「ミイラ男」とか「半魚人」とかね。だから「宇宙人」もこの中に組み込まれちゃうんでしょうかね? しかし中でも最も恐れられ、かつ愛されたのは「吸血鬼」でした。はい、ここは独断と偏見で断言しておきます。
そして「吸血鬼」といえば「ドラキュラ」、「ドラキュラ」といえば「吸血鬼」というぐらいに、吸血鬼イコールドラキュラ伯爵だった時代が長かったのですよね。いろんなバージョンのドラキュラが何度も映画になって現れたものです。たまに「スペースバンパイア」なんてキワモノもありましたが……これは誰もSF扱いしなかったような。やはり「バンパイア」が「ホラー」の花形だったからでしょう。
そんなドラキュラ専横時代に一石を投じたのが「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」でした。
これは衝撃でしたね!
この作品がなかったら、21世紀の大ヒット吸血鬼映画である「トワイライト」シリーズだって生まれてなかったかもしれません。
なにしろ、吸血鬼が血を吸う姿が美しいんですから!
一応ですね、それまでの吸血鬼映画でも彼らが人間の姿をしている時は美男美女だったりするわけですよ。でも、いざ血を吸う段になると牙が伸びて目が赤くなったりして怪物化するんです。しようがないんです、吸血鬼映画はホラーですから、怪人の恐ろしい姿や所行で観客びびらせなきゃいけないんですから。子どもが見たら泣いて逃げるような恐~い外見の怪人・怪物こそ、ホラー映画に求められたものなんですよ。
ところが「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のレスタトは、ほっそりした金髪のトム・クルーズは、唇を血で赤く染めてさえ美しかった!
私、これ見て初めてトム・クルーズ好きになりましたからね。金髪の長髪にくらっとするのはその後レゴラスでもくりかえしましたけど(トムもオーランドも本人は金髪じゃないんですよね。それなのに金髪が似合うのよぉおお!)。
ちなみにこの映画ではレスタトが主人公じゃなくて、ブラッド・ピットの演じたルイが自分の話をインタビュアー(クリスチャン・スレーター)に語るという体裁になってます。インタビュアー役は最初リバー・フェニックスに決まっていたのに、彼が急逝してしまい果たせなくなった……というのも話題になってました。このシリーズは何故か死人がつきものになってしまって、続編のレスタトが主役の「クイーン・オブ・ヴァンパイア」ではクイーン役のアリーヤが完成前に事故死を遂げるという不幸に見舞われております。
それはさておき、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」は吸血鬼が出てるのにドラキュラじゃないってのはともかくとして、彼らが人間の血を吸うシーンがあってもそう恐くないし、そもそもルイは人間襲わないし……という、実際のところホラーでもなんでもない映画だったんですよ。主人公が吸血鬼というだけの、大変おもしろいドラマだったんですね。
監督はニール・ジョーダン。最近ではテレビ・シリーズの「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族 」を手がけておりました。私はWOWOWで見てたんですが、なんとなく、ずっとレスタトは「ボルジア家」ではチェーザレに身を代えてその精神的な系譜をつなげているんだろうと思い込んでいたんですよね。ドラマを見て、というよりも歴史上のチェーザレ・ボルジアという人物がアン・ライスが書いた原作のレスタトに通じるものがあったからです。
ところが先日、丸の内ルーブルの閉館記念上映で改めて「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(上のポスターもその時撮影したもの)を鑑賞して、それが全くの考え違いであることに気づきました。
ドラマの「ボルジア家」におけるレスタトは、チェーザレじゃなくてホアン・ボルジアでした。あの放蕩ぶり、自信家ぶり、そのまんま「インタビュー」のレスタトでしたわ。
ではチェーザレは誰にあたるのかというと、ルイなんです。考えて見れば当たり前なんです。どっちも主人公なんですもの。どーりで「ボルジア家」のチェーザレは悩みが深かったわけだ。
そしてキルスティン・ダンストが演じていたクロ―ディアは、そのまんまルクレツィア・ボルジアにあてはまりました。
「インタビュー」で疑似家族として密接な関係を築いていたレスタト、ルイ、クロ―ディアの3人が「ボルジア家」では完全に血のつながりのある兄弟姉妹として
愛憎劇を演じていたのですね。この人間関係(吸血鬼も含む)がニール・ジョーダン監督はお好みだったとみえます。映画だけでは物足りなかった分をテレビドラマでより濃厚に描きたかったのでしょう。血なまぐささははっきりいって「ボルジア家」の方が上だったりするし。人間の方が吸血鬼よりよっぽど残酷ですわ。
アン・ライスの「ヴァンパイア・クロニクルズ」はこれからどんどん映画化されることが決まったみたいですが、さて、レスタトは一体誰が演じることになるのでしょう? トム・クルーズもスチュアート・タウンゼントも年齢的に無理そうだから、若手の俳優になるでしょうが……ロバート・パティンソンだったりしたら、「トワイライト」のファンが悶絶するわね。楽しみだ♪
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「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマンは昔ドラキュラだったのです。