「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(公式サイト )
アメリカで、あの「トランスフォーマー」を抜いて今年一番の大ヒット、のみならず歴代マーベル作品の中でも一番だとさんざん吹聴されているのをWEBで見て、一体どのぐらいスゴい作品なんだろうと期待に胸を高鳴らせていったら……これはびっくり、全然スゴくなかったのでした。
もうさ、「キャプテンアメリカ」とか「マイティーソー」とか「Xメン」とかさんざん見てさ、さらに「トランスフォーマー」に「猿の惑星」の先行上映まで見た後だけに、これを上回るほどの内容がバーンと来るんだろうと肩いからせてシアターに入ったわけですよ。
ところがそんなリキみかえった肩が完全に透かされちゃうような作品だったんですね~、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。これは肩にチカラを入れず、脱力してリラックスして楽しむ作品だったのです。
や、ほんと、スゴくないけど、気楽でいいです、コレ。スゴくはないんだけど、スリル満点だし、アクションもキレがいいし、何より音楽のノリがいいもん♪
主人公はちょい太めだけどちょっと可愛い感じで、丁度今は亡きヒース・レジャーとこちらは現役バリバリのジャック・ブラックを足して二で割ったような容貌で、ハンサムに片足のつま先をひっかけ、男前にもう片方のかかとでぐっと踏み込んでる感じでしょうかねえ。でも彼の一番の魅力はその愛嬌。度胸も満点だけど、それを上回ってるのが愛嬌のパワーなのですわ。そして心の奥から何故かわき上がる優しさの持ち主ってのもいいのですよ。
その他のキャラクター達も本当によくできていて、昔ながらの主人公が次々にはぐれものを仲間にしてチームになって……というパターンが上手に踏襲されています。
そ、これ、内容って、実はとても古めかしかったりするんですよね。
私思いました。
あ、これ、もうかつての「フラッシュ・ゴードン」とか「スター・ウォーズ」とかの時代がすっかり幕を下ろし、観客の世代が変わったから爆発的にヒットしたんだなって。だって最近のSF映画は小難しいのばっかりで、こういうお気楽な作品って絶えてなかったですもの。
マーベル作品だって映画になったらヒーローは常に地球の命運担ってるじゃないですか。地球って言うか、まあ人類だけど(「猿の惑星」見た直後なもんで)。
とにかく全人類とか、世界とか、地球とか、全宇宙とか、ヒーローの背負ってるものが大がかりになっていくのが最近のSFっぽい映画の風潮でした。「パシフィック・リム」や「GODZILLA」も含めて。この規模の大きさがスゴさにつながるのよね。
ところがさ、それが「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」にはないんだな。主人公が地球出身ってだけで、あとは全然どこか別の銀河の話だもん。そこでよく知らない星の命運をかけてガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは身を張って戦うわけですけど、でもこういっちゃあなんですが、彼らが勝とうが負けようが、私たち人類には何の関わりもないわけで。所詮は他人事なので危機感ゼロ。こっちは言わば相撲見てるみたいなもんでさ、「よっ、クイル山!」とか「ロケット関~!」とか、かけ声かけて応援してりゃいいだけだもん。何故ここで相撲を例にとったかというと、なんちゅーか、スポーツ観戦のような「勝つことが全て」といった冷酷さがこの映画にはないからです。
冷酷なキャラは出てくるんですよ。もう、当然悪の中の悪役として。それでもやっぱりどこかね、ほのぼのとした部分を監督が与えてくれている。たぶんそれがこの映画の楽しい部分なのでしょう。
ちなみに悪役を喜々として演じていたリー・ペイス、「ホビット」ではレゴラスの父王である美貌の誉れ高きスランドゥイルを演じていたんですが、この映画ではその御尊顔、全く拝めません。拝めませんが、口元でそれと分かります。まあ、彼がその顔出しちゃったら主人公のピーター・クイルがかすみますから、それでよかったのでしょう。
登場人物の皆さん、ほとんどが宇宙人なものでメイクバリバリなので、唯一地球人の容貌をきっちり残したピーター・クイルがいやでも格好良く見えるという、映画的なマジックが施されていると思いましたね。でも全体的に見ると、ちゃんと美しいのですよ。うん、これ大事。
で、もちろん宇宙船もバンバン出てきます。個人用の船とかあるあたり、ホント「スター・ウォーズ」か「スペース・コブラ」かって感じで……どっちかというと「コブラ」の方に近いな。
そうなんです、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、今やすっかり死語になってしまった「スペ・オペ」、すなわち「スペース・オペラ」に属する作品だったんですよ! それも「古き良き」までつけたい程のね♪
そういうわけですので、難しいことは考える必要ありません。
シアターに行って、スクリーンに映し出される出来事と音楽を逐一楽しんじゃいましょう!
くれぐれも、肩にチカラは入れないように!