3Dプリンターが変えたハリウッドのモノづくり!米軍のパワードスーツ制作まで!(シネマトゥデイ) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140929-00000013-flix-movi
ハリウッドの特殊効果スタジオ「レガシー・エフェクツ」のリードシステムエンジニアであるジェイソン・ロペスが、3Dプリンターが映画製作に与えた変化について語った。3Dプリンターは、紙に平面的に印刷する通常のプリンターに対して、立体を造形する機器のことをいう。
映画『パシフィック・リム』フォトギャラリー
『ジュラシック・パーク III』(2001)と『ターミネーター3』(2003)で一部のみではあるがすでに3Dプリンターを使用していた同社が、本格的に導入に踏み切ったのはリーマン・ショックが起きた2008年。デザインに関してのクライアントの要求はたびたび変わり、土壇場での変更も頻繁に発生するものだが、不況によってそれに対応できなくなっていったことが大きいという。
「伝統的な手作業は素晴らしいやり方ではありますが、時間もお金もかかります。われわれは早い段階からデジタル化することを考えていました。3Dプリンティングでは左側だけを作り、それを鏡映しにして右側を出力することができるのです。制作が格段にスピードアップしました」。
CGやアニメーションはコンピューターで制作するわけだが、監督ならカメラを通して見たいと思うもの。ミニチュアの人型を3Dプリンターで多数造形し、実際に光を当てて撮影のシュミレーションをすることも可能になった。『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)に登場した史上最強の敵、巨人型ロボット・センチネルは、CGではなくフルサイズの実物が必要という要請を受けて、3Dプリンターを使って3週間で制作したものだ。
ロペスがこれまでで最も3Dプリンターの使用量が多い映画だと思うと挙げたのは、ギレルモ・デル・トロ監督の『パシフィック・リム』(2013)だ。「例えば主人公たちがスーツを着けてホールに入っていくシーンは、CGでやってしまうと完璧すぎてしまうんです。でも現実にはぶつかったりはずんだり、ぎこちないところがある……。そのあたりを物理的なリアリティーをもって作りたいと監督はおっしゃっていました」。
また、3Dプリンターがなければ実現しなかっただろう映画は『アイアンマン』シリーズとのこと。同社が手掛けたパワードスーツはアメリカ軍の目も引き、新世代の“アイアンマン型”戦闘服を製造するTALOSプロジェクトに参加することになった。「約3年前に『アイアンマン』を作った人に話を聞きたいと軍から連絡がありました。その後、TALOSプロジェクトが発表され、生体工学の会社やさまざまなデザイナー、米国海軍特殊部隊ネイビーシールズなどと協力してスーツを制作しています。デザインは超かっこいいですよ(笑)」。
3Dプリンターは、複数の素材を同時に使えるようになったことで、複数のパーツを組み立てたり塗装を施したりする必要がなくなってきているなど大きく発展を遂げており、今後も新素材の開発によってより多くのことが可能になるという。