【インタビュー】アン・ハサウェイ 女優としての次なる“目的地”とは?(cinemacafe.net) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141120-00000007-cine-movi


『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープ演じる鬼編集長にも負けず、健気に頑張るアシスタントを演じ、一躍スターダムを駆け上がったアン・ハサウェイ。クリストファー・ノーラン監督の『バットマン』シリーズ最終章『ダークナイト ライジング』では、これまでのイメージを一新してセクシーなキャットウーマンに扮し、世界を熱狂させた。またミュージカル映画『レ・ミゼラブル』では、ロングヘアをバッサリ切り、名曲「夢やぶれて」を力強く歌い上げ、見事アカデミー賞「助演女優償」を受賞。名実ともにハリウッドを代表する女優へと成長を遂げた。

<写真/アン・ハサウェイ&マシュー・マコノヒー『インターステラー』劇中ビジュアル(大サイズ)>

そんなアンの新境地を切り開いたともいえるのが、ノーラン監督と再タッグを組んだ話題作『インターステラー』(公開:11月22日)だ。物語の舞台は、世界的に食糧難に陥った近未来。マシュー・マコノヒー演じる元エンジニアのクーパーと一緒に、人類の危機を救うために宇宙に旅立つ生物学者アメリア・ブランドを演じている。

壮絶なミッションを遂行する勇敢な女性を演じたことや、マシューとの初共演の感想、また女優としての次なる目標に至るまで、たっぷりと語ってもらった。

地球の寿命を悟った人類は、居住可能な“第2の地球”を探すミッションを、数名の宇宙飛行士たちに託す。そのうちの1人が、アンが演じた生物学者・アメリアだ。
「アメリアはとてもタフな女性だけど、同時に弱い面も持ち合わせている。タフになることは、彼女の責任で、その責任を彼女は喜んで受け入れたの。自分の中にある弱さは拒もうとした。なぜなら、自分に課せられた任務に必要のないものだからよ。でも感情のすべてをコントロールできる人はいない。だから脆い面が露呈することもあるわ」と自身のキャラクターを愛おしそうに語り始める。

アメリアの役作りについて「すべては脚本にあった」そうで、特に難しい面はなかったというアン。「私はただ彼女に真実味を持たせるために、彼女にとって一番大切な記憶は何か、どんなことを大切にしているかを考えてみたわ」。

アンと2度目のタッグとなったノーラン監督は、壮大な世界観を生み出すフィルムメイカーだが、人間ドラマの描き方も秀逸。本作でも、果てしない宇宙の旅と普遍的な親子のドラマの両立に成功している。アンも「ビジュアルとドラマの両立ができるフィルムメイカーは少ない」と話す。

「クリスのユニークなところは、とても知的な人だけど、すごく楽観主義なの。彼は私たちを、とてつもなく複雑で要求の多い旅に連れ出すけれど、最後には希望を感じさせてくれるわ。この映画は、人と人との関係を描いている。だから出演できたことを、誇りに思ってる」とノーラン監督を絶賛する。

一方、マシューとは本作が初共演だ。物語の中であまり多くの言葉を交わさない2人だが、自然とお互いの存在を認め合っていく。実際の彼らも、撮影前には必要最低限の会話しかしなかったとアンは告白する。

「2人とも一歩後ろに下がって、お互いを見ていたわ。私は彼のすることすべてが気に入って、最初の数分間ですっかり感心してしまった。そして、その気持ちが消えることはなかったわ。映画の物語が進むにつれ、私たちは役柄と同じように、多くの時間を一緒に過ごし、お互いに共通するものを学んでいった。撮影が終わる頃には、彼に対して親近感や愛情を抱くようになったの。心から尊敬してるわ。彼は現場にとてもいいエネルギーを持ち込んでくれた。今はとても仲のいい友人よ。彼は独特な考え方をする人で、何を言い出すのかまったく予想ができないの(笑)。彼の脳から飛び出してくるものが大好きよ」。

一方のマシューも、「テイクごとに演技を変えるアンに脱帽した」と彼女を称賛している。そのことについてアンは「シーンを演じるのに、やり方が1つしかないということはない。状況は同じでも、その瞬間に起こることは異なるわ。何よりも耳を傾けることが大事。もし共演者がヒントを与えてくれたら、それに寄り添えばいい。それはマシューも同じだった。ダンスをするのと同じなの」と語っていた。

『ダークナイト ライジング』では、ボディラインがくっきりと分かるボディスーツを見事に着こなしたアン。その当時も「ジムに通いつめることになった」と苦労を口にしていた彼女だが、本作での宇宙服も「着心地のいいものじゃないわ」と明かす。「でも衣装もキャラクターの1つよ。私たちが全身を使ってしたことが、ミッションの難しさを表現できたはず」。ちなみに「本物の宇宙服は、あれより2倍以上重い」とのこと。

映画の中で壮大な宇宙の旅を経験したアンは、地球でのささやかな日常をとても愛おしく感じるようになったと言う。もし宇宙船に乗らないといけないとしたら、何が一番恋しくなったかと聞いてみると、「そよ風」と意外な答えが。

「私は何でも積極的に行動するタイプで、いままでずっとそうだった。立ち止まってバラの香を嗅いだりするタイプじゃなかったの。でも今、ホテルのプールサイドでこのインタビューが始まるのを待ってる間、とても幸せだと思った。風が木を揺らしたり、太陽が葉を照らすのを見てるだけでね。この映画での経験を通して、以前より地球の美しさに深く感謝するようになった。自然のそのままの姿が愛おしい。アクセサリーも流行の服も要らない。ただここに座って、そよ風を感じて、葉が揺れるのを見るだけで十分よ。この映画の前には、こんな感覚はなかったかもしれない」。

また、壮大な宇宙の旅でさまざまな困難を経験するアメリアだが、アン自身が逆境に直面した際の対処法を聞いてみると「私はこれまで遭遇した困難から、自分1人で抜け出すことはできなかったの」と明かす。

「だから人生の壁にぶつかった時は『お願い、助けて!』と周囲の人たちに助けを求めるわ。でも生きていくうえで困難がなくなることはない。だから戦い続けるように自分に言い聞かせる。私は決して諦めないの。友人のジェニー・ルイス(歌手)が『A Better Son/Daughter』という曲の中で、“あなたは闘い、乗り越える。必要なら自分を偽り、笑顔で仕事に行く”と歌ってるわ。私も同じよ。音楽を聞いて、日記をつけて、泣くのをやめる。でもその後、またちょっとだけ泣くの(笑)。そうするといつの間にか、絶対にできないと思っていたことも怖くなくなるの」。

最後に、女優としての“目的地”を聞いてみた。

「私はすでに自分が子供の頃に夢見ていたことを実現してしまった。だから今、次のゴールを模索しているの。今の私が願っていることは、素晴らしいフィルムメイカーと仕事をして、彼らのビジョンを理解することね。それから私はただ、いい人間になりたい。もっと若い時は、世の中を変えたいと思っていた。でも今振り返ってみると、それは私のエゴだと分かった。今の私はただ、周囲に気持ちのいいエネルギーを与えられて、自分やまわりの人たちにいい選択ができる人になりたいの」と語った。