【アート】「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」…物語の“原点”(産経新聞) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150228-00000509-san-movi
人気アニメ「機動戦士ガンダム」の前日譚(たん)を描いた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル」が28日から全国でイベント上映される。第1作でキャラクターデザインとアニメーションディレクターを務めた安彦良和(やすひこよしかず)さん(67)が総監督を担当。自身が平成13~23年に漫画雑誌で連載した安彦版ガンダムに新たな息吹を吹き込んだ。
新アニメ4部作の1作目に当たり、本編の敵役、シャア(キャスバル)の幼年期が描かれる。安彦さんは「これまで『ガンダムを(生みの親の)富野由悠季(よしゆき)の次によく知っているのは俺だ』と言ってきましたが、原作を描くまで、シャアというキャラクターを理解していなかった」と、笑って振り返る。
政治的思惑が交錯するなか、数奇な運命に翻弄されるシャアに復讐(ふくしゅう)心が芽生えていく。「ガンダムは人間ドラマ。シャアと(本編主人公の)アムロは陰と陽の関係で、今回、ガンダムのよくできた物語構造を再認識した」と語る。
「冷戦という枠組みがなくなり、世界中で憎しみや人の業が目立つようになった気がする。そんな今だからこそ、ガンダムを見てもらう意味もあるのでは」
安彦さんが本格的にアニメ制作に携わるのは、元年の「ヴイナス戦記」以来。「大事なニュアンスを伝えたい」という思いから、絵コンテも担当。デジタル化の進んだ制作現場には驚いたが、「絵を描き、線画で表現する難しさ、おもしろさは変わっていない」と語る。
昭和54年のテレビ放送から36年。ガンダムを皮切りにアニメーター、漫画家として数多くの作品を送り出してきたが、「似たようなことを引きこもり状態でやってきただけ。相変わらずバカやってます」と、控えめに笑った。(三品貴志)