「自分たちのを作りなさい」米女優発言の真意 ヒーロー「人種配慮は過剰」(産経新聞) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150314-00000520-san-movi


ドミニカ人を母に持つ米女優、ミシェル・ロドリゲスさん(36)が自身のフェイスブックにハリウッドの人種的少数派の俳優は白人のスーパーヒーローの置き換えではなく、新たなキャラクターを創造していくべきだとするビデオを投稿し、話題となっている。折しも今年のアカデミー賞では主演、助演の男優、女優両賞を白人が独占し、米国の人種的多様性を反映していないと批判を浴びたばかり。米CNNテレビ(電子版)はこのビデオがアップ後の24時間で200万回以上も視聴されたと報じている。

 ■母はドミニカ人

 「ハリウッドは単に女性のキャラクターを男に変えるとか、白人のキャラクターを黒人やラテン系に置き換えるという怠惰をもうやめるべきよ」

 CNNなどによると、ロドリゲスさんは先月末、フェイスブックに投稿したビデオの中でこう述べ、ハリウッドの一部にある過度の人種配慮を批判した。

 ロドリゲスさんはオーディションで選ばれ、2000年の米映画「ガールファイト」に主演。その後も、「ワイルドスピード」(01年)や「アバター」(09年)などに出演している。

 米テキサス州出身だが、父親はプエルトリコ系で、母親はドミニカ人。ビデオの投稿内容はこうした彼女自身の出自に基づく信念ともいえるが、そもそもは、その前日に米芸能サイトTMZに答えた発言のフォローが目的だった。

 ■自分たちの神話作れ

 ロドリゲスさんは映画でDCコミックスが原作のスーパーヒーロー「グリーンランタン」を演じるとの噂があり、TMZは車に向かって歩いていたロドリゲスさんを直撃。これに対し、彼女は噂を否定した上で「白人のスーパーヒーローを盗むのはやめろってこと。自分たちのを作りなさいよ。私の言ってる意味分かる?」とテレビカメラに向かってたんかを切ったのだ。

 確かに彼女の素性を知らず、発言だけを見れば人種差別を助長したと受け止められても仕方がない。さらに、原作漫画は人種的多様性に富んだ作品で、3代目グリーンランタンは黒人男性。「白人ヒーローを盗む」という指摘自体が当たらない。

 ロドリゲスさんはフェイスブックに投稿したビデオで「私にはずけずけとへまなことを言ってしまう癖がある。まずそれを謝りたい」と陳謝。「ハリウッドには白人だけじゃない、たくさんの文化がある。それぞれが自分たちの神話を作り出せると言いたかった」と釈明した。

 ■先を行く原作

 CNNは、最近のハリウッド映画では「ファンタスティック・フォー」(15年6月公開予定)のマイケル・B・ジョーダンさん(28)や「スーサイド・スカッド」(16年公開予定)のウィル・スミスさん(46)のように、アメリカン・コミックスの伝統的な白人ヒーローについて、設定を変えて黒人俳優を起用する例が増えていると指摘。多少の事実誤認はあってもロドリゲスさんの発言には核心を突いている部分があるとの見方を示している。

 一方で、ハリウッド映画のこうした努力は原作ほどには進んでいないという見方もある。マーベル・コミックスは昨年、いずれも白人男性が主人公だった「マイティ・ソー」と「キャプテン・アメリカ」をそれぞれ白人女性、黒人男性のキャラクターに変更。今年5月には新たに女性のスーパーヒーローだけを集めた「A-フォース」の連載を開始する予定で、人種的少数派や女性の取り込みを精力的に進めている。