ベネディクト・カンバーバッチが分析。『イミテーション・ゲーム』が日本でヒットした理由は?(ぴあ映画生活) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150416-00000002-piaeiga-movi


ベネディクト・カンバーバッチが主演する映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』が日本でも大ヒットを記録している。世界の運命を変える偉業を達成するも、その詳細は長らく明らかにされてこなかった実在の天才数学者アラン・チューリングを演じたカンバーバッチは、本作が世界各国で支持された理由をどう分析するのだろうか? 国際電話で話を聞いた。

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アラン・チューリングは、1912年にロンドンで生まれた数学者で、映画では彼が仲間たちとドイツ軍が開発した暗号“エニグマ”の解読に挑む姿が描かれる。

脚本に惚れ込み、全身全霊をかけてチューリングを演じたカンバーバッチは、この物語が実在の人物や出来事を基にした作品でありながら「普遍的な物語」であることがヒットの要因だという。「彼はもちろん英雄です。だけどもアランが何を象徴しているかと言うと“人と違ってもいいんだ”ということだと思います。それは映画にとってとても重要なことですし、現在でも人と少し違うからといって多くの人が差別を受けています。それは彼の時代だけのものではなくて、今も脈々と続いていることです。考えてみると、インターネットがどんどん普及しているなかで、まだ人と違うという理由でいじめられる人が多いわけです。それは受けている側としてはとても辛いことだと思います。この映画は、そういう人たちの心の支えになるのではないかと思います」。

さらにカンバーバッチは本作が英雄の物語であること、男女のフレンドシップを描いていること、そして日本でも身近なコンピューターサイエンスを描いていることを挙げ、その上で「共感できるヒューマンストーリーであること」が本作の最大の魅力だという。「とてもデリケートで繊細な男性が、辛い戦争という状況に置かれて、自分自身が人と違う。でも人と違っていいんだよという気持ちにまでなるその経過。いろんな人と出会っていろんな愛を知って、やっとそこの気持ちまでになれるというのはとても重要ですし、これがこの映画のメッセージだと考えています。だからこそ日本に限らずいろんな国で共感を持っていただけて、気に入って頂けると僕は思っているんです」。

カンバーバッチはつねに真摯に演技に取り組み、作品の背景や投げかけるメッセージ、それらが観客にもたらす影響について深く考えている俳優だ。だからこそ、この映画が単に“エンターテインメント”以上の役割を果たしていることに自覚的だ。「こういった偉人の物語というのはとにかく人々にインスピレーションを与えていると思いますし、とても教育的だと思います。もしこれがフィクションで、脚本家が考えたとしたら、いろいろ入れすぎだと批判されるような人生で、でもこれは実際の人の話だということ。それがとても教育的だと僕は思います。また戦争というと前線の戦闘をイメージするけど、イギリスの南東の人々が知らないようなラジオ工場と呼ばれるところで情報戦というものが起きている。これは第二次世界大戦をまったく違った視点から学べるという意味でも大変重要だと僕は思いました」。

歴史の中で長らく明かされることがなかったドラマに光をあて、さらに観客が共感し、深く考えさせられるストーリーを描いた本作は、今後もさらに多くの観客を集め、支持と賞賛の輪が広がっていくのではないだろうか。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
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