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はい、実は「HK 変態仮面」を見るキッカケとなったともいえる「テレビで見た超おもしろい邦画」がこの「地獄でなぜ悪い」だったのですね~。
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この「地獄でなぜ悪い」、公開当時からツイッターでは映画ファンには特に好評で、べた褒めしている記述もよく見かけたものなんですが、私は園子温監督に何故か苦手意識を持っておりまして……何を隠そう、監督の作品、これまで一本も見たことなかったんですけどね。でも予告編とか、チラシに書かれた内容とか読むと、何かちょっと自分の求めるものとベクトルが違っているんじゃないかと思えちゃって……まあ、食わず嫌いみたいなものですね。
それでも五月四日の午前一時半過ぎに眠れなくて何かテレビ見ようと番組表チェックしたら「地獄でなぜ悪い」があるのを見つけて「んじゃ、いい機会だし、見てみようか」と思ったのは、その前に劇場で見た某邦画がとってもおもしろかったからで……おかげでこの狂気に満ちた作品を遂に知ることができてラッキーでしたわ。
この作品、何故映画ファンというか映画関係者にやたら評判がいいのかよ~くわかりました。映画制作が狂気の沙汰だということをここまであけすけにわかりやすく描いた作品って、かつてなかったもん。テンション高すぎて、突き抜けすぎてて、もう、最後笑う以外に何もなくなる映画ってのもすごいわ。
笑う以外に何もなくなる、と言っても失笑じゃないんですよ。いや、最初は失笑に近かったかもしれないけれど、もう、最後、そこまでやる? というのが激しすぎて、それが意表を突く展開を生み出すものだから、それに対する反応に「笑う」以外の選択肢を思いつかなくなってしまうのね。
いや~、映画制作の本質というものを洗いざらい正直にぶちまけるとこういう作品になるんですね~。できあがったものが観客に受けるかどうかなんて、撮影現場にいる本人達は実はどうでもいいんだ。運良く拍手のひとつも貰えれば、それで満足なんだ。それが芸術かどうかなんてのも、たいした問題じゃないんだ。でも、命はかけてるんだ。
という作品なんで、現実味という点では「HK 変態仮面」とどっこいどっこい。内容というか物語としては……かなり無理があります。それを筒井康隆が書いたとしたら上手なSFになるかもしれないけれど(「大いなる助走」が案外近いかも)。
しかしその無理矢理なあり得ない展開に、この作品に群れ集う名優怪優の芸達者で役者バカな演技がリアリティーを持たせちゃうのよね。特に堤真一の百面相と長谷川博巳のキレた笑い声がスゴイ。そんなにヘンな人なのに、ちゃんとリアルに「こんな人、いそう」と思わせるんだから。そこに國村 隼が見た目も演技も渋いのに頭のネジがひとつふたつどっかにトンでるヤクザを軽妙に演じ、ひたすら普通で地味そうな星野源が巻き込まれて死の恐怖に直面する姿をごく自然に表現し……いや、やっぱりスゴイ映画だわ。美形じゃないけど生き方男前な俳優さんがてんこ盛りだし。
そしてこの映画も「HK 変態仮面」同様スピード感がいいのですね。そう、ムダな空白がない! 登場人物は皆一生懸命走ってる! 不必要に感傷に浸らず、必要な感情表現は全部する! あの時ああしておけばよかったと、過ぎた事をうだうだ後悔して涙にくれたりしないのよ(回想シーンはあります)。
うん、つまり、私の嫌いな邦画の要素が含まれていないのね。そりゃ自分にとっておもしろいに決まってるわ。
映像としては、血しぶきが皆CGなのでどれだけ血が噴き出してても誰も返り血を浴びてないとか、そういう不自然な点はあります。でも、そんな事は些末事として許せちゃう、そのぐらい展開に勢いがあるんだよね。
床にたまった血の量は「キル・ビル」よりも多いかもしれないけれど、最終的にメタ構造になっているので、人の生死はあまり気にせず終われるのです。
人生に退屈した時、刺激が欲しくなったらどうぞご覧下さい、「地獄でなぜ悪い」。映画制作の地獄絵図、とっくと眺めることができますよ♪