エディー日本、南アに逆転大金星!勇敢すぎるラストプレーに世界感動(サンケイスポーツ) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150921-00000008-sanspo-spo
ラグビー・イングランドW杯1次リーグB組(19日、日本34-32南アフリカ、ブライトン)桜のフィフティーンが世界を震わせた!! エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、55)率いる世界13位の日本が1次リーグB組初戦で、2度のW杯制覇を誇る同3位の南アフリカを34-32で破った。試合最終盤、相手ゴール前で猛攻を続け、終了間際のロスタイムにPGでの同点を選ばず、大逆転のトライを奪う勇気ある大金星。日本開催の2019年W杯へも弾みとなる快挙を演じた。勢いに乗るエディー・ジャパンは悲願の8強へ、23日の世界10位・スコットランド戦(グロスター)でも勝利を狙う。
2万9290人の観衆が総立ちとなった。29-32と3点差を追う日本は南アフリカのゴール前で8次攻撃。最後は右隅のラックから執念の左オープン展開だ。左コーナーへ激走するWTBヘスケスが、必死にすがりつく相手WTBのJP・ピーターセンと一塊になってゴール左隅に頭から飛び込んだ。トライ!! その瞬間、ブライトンが、いや世界が震えた。
NO・8マフィはひざをついて泣いた。PR稲垣は芝の上に突っ伏した。日本ラグビーが刻んだ新たな歴史は、試合時間80分を過ぎてからつくられた。ラストワンプレーで得た相手ゴール前左でのPK。PGで引き分けに持ち込むことはほぼ確実にできたが、FLリーチ主将は迷わずスクラムを選択。理由は簡単だ。
「トライを取る」
土壇場で選手たち自らが勝利を望んだのだ。直前の相手のシンビン(反則による10分間の一時退場)でFWが1人多かったこともあったが、「勝つしかない。みんな同じ気持ちだった」。2G5PGを決めていたFB五郎丸も、自分の右足の出番でないことは分かっていた。
選手自身の判断力の向上を口をすっぱくして言い続けていたジョーンズHCは、「勇敢という言葉以上。W杯史上最高のゲームの一つ」と最大級の表現でたたえた。
南アフリカで行われた1995年大会で、日本はニュージーランドに17-145という屈辱的大敗を喫した。南ア国民や関係者には、その記憶が鮮烈に残る。英国ブックメーカーのオッズも南アの勝利が1倍なのに対して、日本勝利は34倍。W杯優勝2度を誇る南アにとって「簡単な試合」とたかをくくっていたのは世界も同じだった。しかし、そんな南アにW杯最多失点を記録させた日本の快挙。それは4年間の猛練習から生まれた。
2012年のエディー体制始動から、早朝5時台開始の1日3部練習が当たり前。「我慢強い日本人だから続けられた」(五郎丸)練習で培われた強みが、これまで諸外国に蹴散らされてきた残り20分から発揮された。後半28分、左ラインアウトからブラインドWTBの松島を参加させるとっておきのプレーで五郎丸がトライを決めて29-29に。決勝トライも「相手より走り勝てた」(SH田中)という、世界最高と自負するフィットネスのたまものだ。果敢にスペースへと展開する日本を、日本サポーターだけでなく、英国ファンも猛烈な応援で後押しした。
守りでも巨漢選手にひたすらタックルを繰り返し、相手より早く起き上がって次に備える動きで南アを上回った。南アは突き放すチャンスだった後半32分のPKでPGを選択。「焦っているのが分かった」と選手たちは口々に話した。
しかし、この1試合でW杯が終わるわけではない。達成感が表情にこもるリーチ主将は「(23日に)次のスコットランド戦が控えている」。最大のミッションであるB組2位を確保しての「ベスト8」を、浮かれずに見据えた。