ヒュー・ジャックマンにインタビュー、俳優・父親として追い求めるのは“バランス”(クランクイン!) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151031-00039633-crankinn-movi


『X‐MEN』シリーズのヒーロー・ウルヴァリン、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン…オーストラリア出身のヒュー・ジャックマンは、もはやハリウッド映画には欠かせない大きな存在となり、その人気を不動のものとしている。最新作『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』では、非道な極悪人・黒ひげを演じた。「悪役はとても楽しかった」と笑顔で振り返るヒューに、さらなる胸の内を聞いた。

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 撮影中から自身のインスタグラムで坊主姿を公開したり、今回の黒ひげ役にノリノリの様子だったヒュー。黒ひげは冷酷無比の海賊で、自分の帝国を築くことに執着する悪いやつだが、どこか憎めないような可愛さも湛えている演じ方をしていたようにも感じた。「黒ひげのような悪役は、メランコリックで悲しい面も持っていたりするから、最終的には予知できない大人を創り上げることを試みたんだ。例えば『チョコレートをあげようか?』と言った次には、頭を切り落としたりして」と自身が演じた黒ひげが大層気に入った様子で「演じているほうは、とても楽しいんだよ」と、満面の笑みを向けてくれた。

 特に注目したい場面は、黒ひげが「ようこそ、ネバーランドへ」と傲慢ちきに姿を現す登場シーン。かの有名なニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』を海賊たちが声を限りに歌い、当然ヒューもロックテイストでその美声を響かせる。インパクト大のこの場面だが、もともと台本にはなかったことを明かしてくれた。

 「曲は脚本には全然書いていなかったんだよ。撮影前に1週間、海賊だけで合宿に行ったんだけど、そこで毎朝必ず歌ったんだ。なぜって?それが海賊だからね(笑)。そうしたら、3日目にジョー(監督)がニルヴァーナの曲を持ってきたんだ。みんな盛り上がってジャンプし始めて、インスピレーションが湧いて『これを登場シーンに使う』とジョーが騒いだよ。でも、子どもたちは何を歌ってるのか、意味が全然わかってないんだろうけど(笑)」。


 こうした悪役から善人まで演じ分けもパーフェクトにできるチャーミングな俳優に、当然オファーが殺到している。毎回、出演作の選択はどのように行っているのだろうか。「この5~10年くらいは監督で作品を選んでいたよ。何より映画というのは監督が決め手だと思うから。今回のジョーや、クリストファー・ノーラン、バズ・ラーマンなど、ドラマ作りのうまい監督と一緒にやっていきたい。ジョーがもし僕に他の役を演じろと言っていても、引き受けていたと思うよ」と言うので、「もし、ジョーが今回フック(ギャレット・ヘドランドが演じた)でお願いしても応じた?」と尋ねると、「とっても嬉しいけど、お世辞を言っているんでしょ(笑)。フックを演じるには年を取りすぎてると思う、ハハ」と、茶目っ気たっぷりに答えてくれた。

 劇中で、黒ひげは永遠の若さを追い求める。対するヒューが今現在追い求めているものは、「バランス」だと即答した。「僕は俳優としてチャンスがあって、とてもラッキーだと思う。なので、自分が求めるものといえば、子どもたちや妻、家族、両親、そして仕事との時間のバランスだ。僕は5人兄姉の一番下で育ったからか、兄や姉たちがやっているのを見て、いつも『僕もやりたい、僕もやりたいよ』って思っていた。その性格が今でも続いていて、ついつい欲張ってしまうんだよ。FOMO(※Fear of Missing Out:取り残される恐怖)というんだけどね。欲張りすぎず、今やっていることが正しくやるべきことだと思うのが大事かな」と、優しい眼差しで語ってくれた。(取材・文:赤山恭子)

 映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』は10月31日より全国公開。