上映中に叫び、太鼓を打ち鳴らす!マッドマックス「絶叫上映」に行ってきた(映画.com) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151015-00000017-eiga-movi


劇中のセリフにちなんで8回観ることを「V8」と呼ぶ熱狂的なリピーターを生んだ「マッドマックス 怒りのデス・ロード」。立川シネマシティの極上爆音や塚口サンサン劇場のScreaming “MAD”上映など劇場側もイベント性を打ち出し“祭り”状態は留まるところを知らない。そして東京・池袋の新文芸坐が10月11日に開催したのが「絶叫上映」。コスプレ大歓迎、鳴り物の持ち込み可、上映中に一緒に叫んで太鼓を打ち鳴らす狂騒の宴がどんなブッ飛んだことになっているのか取材に行ってきた!

 「絶叫上映」は11日夜の一回限り。266席分のチケットは瞬殺で完売したといい、開演の一時間以上前からロビーに続々とコスプレイヤーたちが集まってくる。驚かされるのはその本気と熱気とクオリティ。焼きゴテの跡をメイクしてくるなんてザラで、シャーリーズ・セロンが演じたフュリオサそのままに坊主頭で参加する女性も。メル・ギブソンが主演した一作目のマックスを再現する人がいれば、ショルダープロテクターにジョージ・ミラー監督の直筆サインが入っている猛者もいた。

今回の「絶叫上映」を企画したのは、実は小池氏と江部氏という一般の映画ファン。作品に惚れ込んだ両名は「この映画は絶対に“絶叫上映”をやるべきだ!」と確信。ネットで呼びかけて1000名以上の参加表明を集め、10以上の映画館に自主的に売り込んだという。中でも「ウチでやりましょう!」と快諾したのが新文芸坐。毎週末には必ず興味深いオールナイト企画を開催している野心と良心の名画座である。

 異様なテンションで待ち構える満場の客席の前に現れたのは、危険なウォーボーイズたちに引きずられた劇場スタッフの花俟氏。顏には劇中のマックスと同じ拘束マスクが付けられており、かわいそうと見せかけて「みなさんのがんばり次第で、今日はイモータン・ジョー様が勝つかも知れません!」と客席を煽りまくる一級のアジテーターだ。

 上映中は、独裁者イモータン・ジョーが登場すると「ジョー!ジョー!」の大合唱。配下のウォーボーイズと一緒に「V8」ポーズを決めるのは当たり前。荒野のカーチェイスでは暴走族ラッパがパラリラと鳴り、爆破や銃撃に合わせてクラッカーが破裂しまくる大騒ぎだ。

 しかしクライマックスにさしかかると“絶叫”は控えめになり、ストーリーやアクションの迫力に夢中になって誰もが画面に魅入ってしまっている。みんなこの映画が好きすぎる! 100%いい意味で誰もが「マッドマックス」に夢中なのである。

 驚いたのはエンドクレジット。日本公開版のみのエンディング曲「Out Of Control」はコアな映画ファンに好評というわけでもなかったが、この日の観客にとって大人の事情など些末なこと。誰もが曲に合わせて「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」と完璧なタイミングで唱和しヘッドバンギングが炸裂するコンサート状態に突入。なにかの和解が達成された美しい瞬間を見た思いだった。

 上映終了後の劇場内を見渡してみると、床にはクラッカーのリボンが散乱する“祭りの後”のカオス状態。ところが主催者側のスタッフと有志の観客によってアッという間に片づけられ、すべてが幻だったかのように元のキレイな客席に戻ったマナーの素晴らしさも印象的な風景として書き添えておきたい。

 観客参加型の映画上映をさかのぼると「ロッキー・ホラー・ショー」に行きつく。近年では「パシフィック・リム」でも絶叫上映が行われたし、インド映画に合わせて歌い騒ぐマサラ上映もある。新文芸坐の花俟氏も今回主催した小池氏・伊部氏も「絶叫上映」を継続して広めていきたいと語ってくれたので、映画をただ鑑賞するだけでなく、世界観に飛び込んでいく楽しさをさらに多くの人に味わっていただきたいものである。



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