この前までの飲用記事を見ればお分かりでしょうが、私は亡くなったアントン・イェルチン君のファンでした。


日本ではあまり馴染みがないようですが、「スター・トレック」シリーズのチェコフとして、「ターミネーター4」でのカイル・リースとして、本国では立派にスターとしての地位を築いていたのです。まだとても若い内から。


私がどの作品で彼に目を止めたかはもう覚えていないのですが、まだ子役同然の、かなり早い内から注目株だとしっかり名前を覚えていました。あれはまだ日本で「アントン・イェルチン」を目にすることがほとんどなかった頃です。とにかく演技の上手い子だなあと思っていたら、実は彼、「アトランティスのこころ」で私を涙させた素晴らしい子役だったんですね。当時からアンソニー・ホプキンスと堂々渡り合える演技力の持ち主だったんだから、ティーンエイジャーになってますます才能に磨きがかかっていて当然なのです。


だから彼が「スター・トレック」や「ターミネーター4」に抜擢された時も心配したりせず、彼の勇姿を楽しみに劇場に足を運んだものなのです。もちろん彼が期待を外すことはありませんでした。


シリーズもの以外でも「フライトナイト」のリメイクで主演したりとか、トム・ヒドルストンと共演した「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」やニコラス・ケイジと共演の「ラスト・リベンジ」で成長した姿を見て目を細めたりしてて、今年はようやく「スター・トレック」の3作目で元気で可愛いチェコフにまた会えると思っていたのに……。


折しも昨日はテレビで録画した「ターミネーター5」を見て、これより「4」の方が面白いな、アントン君のカイル・リースの方がよかったな……なんて思っていたところに急な訃報で……。私最初に見たのが英語の哀悼の記事だったので、自分が意味をとり違えているのかと思ったんですが、次の記事にしっかりと「DIED」と書かれていたのでを読んで、もうショックでショックで……。日本語の記事で確かめた時には腑抜けになってしまいました。


だって、たったの27歳ですよ。まだまだこれからじゃないですか。

サンディエゴのコミコンでの「スタトレ」お披露目には舞台挨拶に立つはずだったでしょうに……。プレミアはきっと、アントン君をしのぶ形になるのでしょうね。


2013年にポール・ウォーカーが交通事故で亡くなったのが思い出されます。

映画スターといえど、統計上の事故の確率とは無縁でいられないわけですが、あまりにもあっけなく命を奪われてしまうことに憤りさえ覚えます。


ポールも、鳴かず飛ばずの時代にも日本で彼の出演作が公開されたら、単館系でもわざわざ見に行ってたものなんですよね。


交通事故ではありませんが、ヒース・レジャーの死も突然で、本当に信じられない思いでした。ヒースも大好きだったから、ベネチア映画祭の「ブラザーズ・グリム」プレミアに行って、本人を見たこともあるのです。


ヒースが亡くなったのは2008年で、28歳。アントン君と一歳しか違わないのに、随分年上に見えてたものですよ。「ダークナイト」のジョーカーじゃあ、見た目で年齢は判断できないけれど。


同じ年にはブラッド・レンフロが25歳の若さでひっそりこの世を去っています。彼は子役の時にもてはやされたせいか、その後薬物で身を持ち崩していたので表舞台から去っていたのであまり話題にもならなかったのですが、私にとってはやはりショックな出来事でした。


アントン君は子役出身でもそのまますんなり大人の俳優になって、これからも問題なく活躍してくれるものと安心していたんですよ。酒とかドラッグとか精神不安定とか、そんな悪いウワサはきいたことがなかったから。死んでしまって一番びっくりしているのはきっと本人でしょうね。まだまだ可能性は無限に広がっていたのに……。


若くして亡くなった人が悼ましいのは、そこにあったはずの可能性が一挙に無になってしまうから。どんな未来を思い描いても、結局人の行き着く先は死しかないのだと思い知らされるから。


それでも生きてる事の大事さを思い直し、一日一日をしっかり生きていくしかないわけで。


今宵は「ターミネーター4」のDVDを引っ張り出して、在りし日のアントン君を見ながら献杯します。痛々しさを覚える程若いのに、その瞳の強い光に圧倒されるカイル・リース。このカイルなら、確かに将来サラ・コナーを救いに過去へと喜んで旅立つだろうと思わせてくれたアントン君。できることなら、事故の前の日にタイムトラベルして、この死をなかったことにして欲しい。


心からの哀悼を



彼は「ワイルド・スピード スカイミッション」の撮影中に亡くなって、その後しばらく


というカタカナ名前が定着する前でしたから、でちらほらとしか