【特別映像】ルーク・エヴァンス、撮影中記憶をなくす!? 『ハイ・ライズ』(cinemacafe.net) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160807-00000001-cine-movi #Yahooニュース

 

トム・ヒドルストンをはじめ世界的人気を誇る英国俳優たちが集結した、映画『ハイ・ライズ』。まるで理想郷のような新築タワーマンションを舞台に人間の堕落をミステリアスに映し出す本作で、セレブたちの危険なパーティに参加しながら、マンション内の“異常事態”を暴くTVディレクター、ワイルダーを演じているのが、ルーク・エヴァンスだ。本作での怪演が早くも話題を呼んでいる、エヴァンスのインタビュー映像がシネマカフェに到着した。

【画像】『ハイ・ライズ』場面写真

これまで、「太陽の帝国」(スティーヴン・スピルバーグ監督)、「クラッシュ」(デヴィッド・クローネンバーグ監督)が映画化されてきたJ・G・バラードのSF小説を、新進の鬼才ベン・ウィートリー監督が完全映画化した本作。

舞台となる40階建ての高層マンションは、上階に行くにつれ住民が富裕層になっていき、最上階にはマンションの設計者で高名な建築家のロイヤル(ジェレミー・アイアンズ)が居を構えている。上層階に住むセレブたちは、贅沢なパーティ三昧の毎日。中層の25階に引っ越してきた主人公の医師ラング(ヒドルストン)も、その日々を謳歌していた。

このマンションの低層階に、身重の妻と2人の子どもたちと住むリチャード・ワイルダーは、ろくに仕事もせず、ほかの住人と同様、快楽に浸っていたが、上層階の人間による露骨な階級差別に不満を募らせ、やがて仲間を扇動。ある不可解な事件をきっかけに、この “異常事態”を暴くべく、カメラにマンション内の実態を収めようとする。

実はこのワイルダーは、階級闘争とは一線を画し、つかみどころのない主人公ラングに対して、物語の牽引する“もう1人の主人公”ともいえる重要人物。演じるエヴァンスといえば、『ホビット』シリーズや『ドラキュラ ZERO』などで知られているが、本作では役名(Wilder)そのままに、野性味あふれる破天荒な熱血漢として、観る者に強い印象を与えている。先日も米サイト「We Got This Covered」で本年上半期ベスト演技第3位に選ばれるなど、その演技は高く評価されており、彼の新たな代表作と呼ぶにふさわしい熱演を披露する。

映像で、「役者にとってワイルダーは演じていておもしろい」と語るエヴァンスは、扇動家で好戦的、大酒飲み、女性好き、といったさまざまな表情を持つ役柄を演じるにあたり、似た人物として真っ先に英国人俳優のオリヴァー・リードを思い浮かべたという。1973年の『三銃士』などで活躍し、野性味あふれる風貌とキャラクターで知られたリードは、リドリー・スコット監督の『グラディエーター』撮影中に急死してしまった英国では異端ともいえる武骨な俳優だ。エヴァンスは、彼のことを調べ尽くし、インタビュー映像を見るなど研究して、切り取られたその人生の欠片をワイルダーの人格に溶け込ませていったという。

また、ラングとの関係については、「2人には共通点はあまりなく、社会的な階級、仕事、性格もかなり違う。だけど、なぜかお互いを尊敬してる。何かを決断して始めようとするとき、全く違う2人のようで実は似てることがわかる」と分析、演じるヒドルストンについても「かなり異なる個性の持ち主がセットでぶつかり合うところが面白かった」とふり返っている。

そんな彼が最も気に入っている場面として挙げるのは、クライマックス前のワイルダーが常軌を逸した行動をとるシーン。「俺の名前はリチャード・ワイルダー」とカセットテープに吹き込む場面を撮るために6分間繰り返し言い続けたそうで、ウィートリー監督から「動物のようにイカれた人になれ」と衝撃の指示を受けたことを明かす。エヴァンスは途中で“自分のなかではもう十分だ”と思い、カットがかかるのを待ち始めたが、いっこうにカットはかからず、その後、記憶がなくなってしまったとか…。


「自分でも衝撃的な体験で、興味深い感覚だった」とふり返る、この場面のワイルダーのもはや知性も理性もない“獣”のような姿は、もはや演技の粋を超えた必見のシーン! マンション崩壊の鍵を握るこの人物にも要注目だ。

『ハイ・ライズ』は8月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。