ミニオンで世界を席巻!アニメ界の勢力図を塗りかえる、“イルミネーション”って?(dmenu映画) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160811-00010000-dmenueiga-movi #Yahooニュース
米アニメ映画業界の勢力図に変化が起きているのをご存知でしょうか。これまで同業界のキーマンといえば、ディズニー/ピクサー両スタジオのCCOを務めるジョン・ラセターと、ドリームワークス・アニメーションのCEOジェフリー・カッツェンバーグと言われてきました。ラセターは『トイ・ストーリー』シリーズや『アナと雪の女王』を手がけ、カッツェンバーグは『シュレック』シリーズを手がけてきたというと、彼らの影響力が分かっていただけると思います。
しかし、ここにきてイルミネーション・エンターテインメント(以下、イルミネーション)の創業者兼CEOであるクリス・メレダンドリが、この勢力図を塗り替えようとしているのです。
2007年にユニバーサル・スタジオの子会社として設立されたイルミネーションは、これまでに『怪盗グルーの月泥棒』(10)、『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13)、『ミニオンズ』(15)といった作品を手がけ、すべての作品でメレダンドリがプロデューサーを務めてきました。これらに共通して登場するバナナが大好きな愛らしい黄色いキャラクター、ミニオンはすでにお馴染みですよね。
ミニオン人気は年を追うごとに勢いを増し、公式ゲーム「怪盗グルーのミニオンラッシュ」は2015年3月に全世界で累計5億ダウンロードを突破したほか、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが世界最大のミニオン・エリアを2017年にオープンすることを発表するなど、とどまるところを知りません。
とはいえ、今回は米アニメ映画業界の勢力図を変えるほどの変化についての話。果たしてどれほどヒットしたのでしょうか。日本ではイルミネーションで最大のヒット作となった『ミニオンズ』が52.1億円の興収を記録。一方でディズニーの『アナと雪の女王』(13)は254.8億円と、文字通り桁外れにヒットしたため、『ミニオンズ』が劣勢に感じられてしまいます(※映連調べ)。しかし、視点を世界興収に移すと違った印象を受けます。
『アナと雪の女王』の世界興収は約12.8億ドル、一方、『ミニオンズ』は約11.6億ドルと国内興収に比べ接戦であり、世界的な勢いを感じていただけると思います(※Box Office Mojo調べ)。さらに、イルミネーションは製作費を低く抑えているのも注目しておきたいところ。『アナと雪の女王』の製作費は1.5億ドルですが、『ミニオンズ』は7500万ドルと約半分。単純に興収から製作費を除くと、『アナと雪の女王』は11.3億ドル、『ミニオンズ』は10.85億ドルと僅差になり、メレダンドリの手腕の高さが浮き彫りになってきます(※Box Office Mojo調べ)。
勢力図の変化を後押しするのは、ミニオン効果だけはありません。今年4月28日、傘下にユニバーサル・スタジオを抱えるNBCユニバーサルが、ドリームワークス・アニメーションを38億ドルで買収すると発表しました。ユニバーサル・スタジオがイルミネーションの親会社であるのは先述のとおり。つまり、これまで勢力争いをしていたイルミネーションとドリームワークス・アニメーションが、同じ親会社のもとに収まることになったのです。
買収完了後、ドリームワークス・アニメーションを率いていたジェフリー・カッツェンバーグは新たに創設される新部門「ドリームワークス・ニューメディア」のCEOに就任するとのこと。そして、ドリームワークス・アニメーションの指揮権はメレダンドリが受け継ぐことになると言われています。よって、今後はディズニー/ピクサーのジョン・ラセターとイルミネーション/ドリームワークス・アニメーションのクリス・メレダンドリの一騎打ちになることが予想されます。
今夏、すでにその幕が切って落とされました。ラセターがエグゼクティブ・プロデューサーを務めた『ファインディング・ドリー』が6月17日に、メレダンドリがプロデューサーを務めた『ペット』が7月8日に米国で公開されたのです。米国オープニング週末興収をみると、『ファインディング・ドリー』は約1.35億ドルを記録。一方、『ペット』は約1.04億ドルと、『ファインディング・ドリー』に軍配があがりました(※Box Office Mojo調べ)。とはいえ、『ペット』に関しては日本での公開も控えており、世界興収の今後の動きには期待が高まります。
来年にはピクサーから『トイ・ストーリー』シリーズの第4作、イルミネーションからも『怪盗グルー』シリーズの第3作が公開される予定です。イルミネーションという新たな勢力、メレダンドリという新たなキーマンの登場により、どこまで勢力図が塗り変わっていくのか、今後の動向が楽しみです。