皆様、年末年始は如何お過ごしでしたでしょうか。

ワタクシはタイトルにある通り、アメリカのドラマ「12モンキーズ」にはまりまくっておりました。

 

「12モンキーズ」というのはテリー・ギリアム監督でブルース・ウィリスとブラッド・ピットが出演しているカルト的人気を誇るSF映画なのですが、それを元に新たにドラマシリーズが展開しているのですね。

 

バンドネオンの演奏による妖しくも印象的なこのテーマを耳にした方も多いのではないでしょうか?

残念ながらテレビシリーズの方にはこのテーマは使われていないようなのですが、そんなこと気にならないぐらい滅法おもしろいのですよ、これが!

映画で描かれた部分を大雑把になぞった感じなのが第一回。

そう! 映画で2時間かけたストーリーをテレビの45分かそこらでかっ飛ばしちゃうんだから早い早い。しかも内容が濃いので目を離してる暇もないんですね。何か他のことをしながら見てたら、全貌がつかめません。

 

テレビシリーズでは映画における完結部分だけを後回しにした感じで、肝心の問題の解決はつかないままに主人公のコールが次から次にミッションをクリアしていきます。そう、コールがミッションをクリアすれば解決するはずの問題が、何故か全然解決につながらないまま次の問題提起になるという……あれです、「ダ・ヴィンチ・コード」とか「インフェルノ」とか、そういう世界。もう、一旦そのレールにのっかっちゃったら降りることもできないまま謎が解決されるまで突っ走らなきゃいけないという、謎が謎を呼ぶあれですね。

 

これ、テレビ放映が始まってからずっと我が家のDVDにとりためていたものを、年末年始にがっと一気に見たんですよ。私が見た元日の赤い物は初日の出じゃなく初血のりだったという……いや、それはどうでもいいんですが。

 

はじめのうちはPCやりながらとか見てたんですが、そうするとどうにも分からない点が多々出てくるのが分かったので、それをやめて見たのが第4話ぐらいからなんですね。その頃になると登場人物もそれぞれ見分けがついてどんな人だか分かるようになってくるし、作品世界の理解も深まってくるわけで、真剣に見てても飽きない――というより真剣に見ないと分からないということに気づいてくるわけです。そうすると、これがおもしろくってやめられなくなるのね。一気見なので前回のエピソードをちゃんと覚えているからいちいち思い出す苦労もないし。

 

で、ドハマリ。

 

テレビで録画した分が12話までで、第13話の最終回が1月10日だってんで、そのままレンタルしにいきましたもん。案外12話がまとまりよくて、ここで一旦終わって最終回まで10日待ってもいいかと思いもしたんだけど、やっぱり我慢できなかった! シーズン2があることがわかっていたから、どうせクリフハンガーで終わるんだろうとも思ったんだけどね~。

 

 

いや、しかし、最終回借りてよかったですよ。

最終回見たら、また第一回から見直したくなるという、無限ループにはまっちゃいましたけどね。最終回見てから見直すと、いろいろ納得できるところがあったりしてまた違う楽しみ方ができますからね。

 

さて、前述したとおり、主人公の名前がジェームズ・コールというのは映画もドラマも同じです。映画では渋くブルース・ウィリスが演じていたのをドラマでは若返って(髪の毛もふさふさで)アーロン・スタンフォードが演じております。彼、アーロン、どこかで見たことあると思ってたら、Xメンシリーズに出てくるパイロを演じていたんですね。パイロの時と同じく、自分にとって信ずるに足ると思った対象を選んだら、とことん忠実に非常に徹してミッションをやり抜くのが彼の演じるコールです。腕っ節の強さを逞しい背中が語っておりますわ。

 

コールが会いに行き、守ろうとするキャシー・ライリーは儚げな美しさのマデリーン・ストウからブロンドで力強い目をしたアマンダ・シュルにバトンタッチ。そこでキャシーの本名がカサンドラであることが判明。カッサンドラーというのは、ギリシア神話に登場するトロイアの王女で、どれだけ正しい予言をしても誰にも信じて貰えないという呪いをかけられているんですね(映画「トロイ」には出てこないので、彼女の役割をオーランド・ブルームが演じたパリスが受け持ってました)。なかなか、象徴的なネーミングだと思いました。

 

キャシーの元カレで、今でも彼女に思いを寄せるアーロン役は、「ワンス・アポン・ア・タイム」でレジ―ナの初恋の人、ダニエルを演じていたノア・ビーン。真面目な人が似合いますね。

 

コールの友達で、映画ではちょこっとずつしか現れなかったホセは、ラムゼという姓を得てカーク・アセヴェドが演じるメインキャラになってました。

 

また、映画ではジョーンズという姓しか紹介されてなかった女性科学者が、テレビではカタリーナという名前を貰って重要な人物に。カタリーナという名前はドイツ人だからという設定なんですが、恐らくキリスト教の殉教者で聖人でもある「アレクサンドリアのカタリナ」に因んだものと思われます。自分の信仰を貫くためならどんな犠牲も厭わぬ女性ですから。

 

私がドラマの「12モンキーズ」夢中になったのは、このカタリーナがかっこいいからなんですよ。キャシーも映画の時よりがっつり活躍してるので、女性キャラが強い時代になったもんだと思うのですが、彼女よりもカタリーナの方が激しいんですよね。カタリーナの何にも負けぬ強さがあるから、コールもその気になってがんばれるといっても過言ではないわけで。

 

カタリーナ、一歩間違ったらマッドサイエンティストなんですけど、女性ならではの理性でそれを押さえ込んでるような感じなんですよね。破壊ではなく、守ることを第一に考えている女性なので。彼女がそれを守るために、どれだけのことをするかというのがこのドラマの見所のひとつといえましょう。彼女の取る行動には、私いつも驚きのあまり声をあげてますもん。

 

カタリーナを演じているバルバラ・スコヴァはドイツの大女優らしいです。とにかく、存在感が素晴らしい! タバコの煙をふーーっと吐き出してるだけで絵になります。「ハンナ・アーレント」のタイトルロールだった彼女を見たことがありますが、何があろうと己を貫く人でしたね。はい、「12モンキーズ」をの屋台骨を支えているのは実は彼女なんです。

 

というわけで、ドハマリ中の「12モンキーズ」、テレビ放送は最終回を残すのみですが、レンタル、Huluと見る機会はいくらでもありますので、海外ドラマファンで未見の方は是非どうぞ!