タイトル両作品の内容に触れますので、未見の方はご注意を。
エイミー・アダムスと言えば「魔法にかけられて」のキュートでチャーミングなジゼル姫役でブレイクした女優である。あのジゼル姫の無邪気で幸福そうな笑顔にハートを打ち抜かれた人は男女を問わず多かったことだろう。「魔法かけ」は本当に可愛くて、見ているだけで幸せになれる映画だった。
が!
その無邪気で可愛いイメージは見方を変えると無知で馬鹿でという印象につながりかねない。ジゼル姫の見せた”天然”な様子がエイミー本人の特質であると誤解されかねないのだ。それはすなわちエイミーの演技力が高いことを示しているのだが、一般の観客はそこまで考えない。世界的に大ヒットした作品だからこそ、ジゼル=エイミーというイメージはどこまでもつきまとう。
エイミーは恐らくそれを避けたかったのだろう。その後ジゼル姫を彷彿とする役からは意図的に離れているようだ。
そうして「ダウト〜あるカトリック学校で〜」「ザ・ファイター」「アメリカン・ハッスル」とアカデミー賞を始めとした各映画賞の常連になるにつれ、必要に応じた微笑みは浮かべても、彼女の魅力であったキュートでチャーミングな笑顔をスクリーンで見ることは少なくなっていった。
私はジゼル姫が大好きだったので、とても残念だったのだが。
しかし、例え笑わなくてもエイミーはキュートで美しい。
「マン・オブ・スティール」でロイス・レインを演じてくれ時は嬉しかった。ジゼル姫のようなキャピキャピキラキラした愛らしさが失われていたとしても。
そして先日劇場で「メッセージ」を、機内上映で「ノクターナルアニマルズ」を見たのだが……さらに笑わない女優になってましたね、エイミー・アダムス。ボトックスしたニコール・キッドマンの方がまだよく笑うんじゃないだろうか(彼女の場合目と眉が全く動かないんで笑ってても恐いんだけど)。
両作品とも映画の内容上、そもそも笑うシーンというのがほとんどないのだが、その脚本を読んだ上で出演を決めているのはエイミー自身だ。なんであんなに笑わない映画にばっかりでたいんだ、キミは。
それはまあ、彼女が笑わない映画の方が評論家からの評価が高いからだろうが……。
かつて彼女はある意味スクリーン上の癒しであった。今の彼女を見ていると、自分で望んでその地位からおりたのだと思う。美しさでも笑顔でもなく、自分の演技を評価して貰うために。
それが彼女の望みなら、「ノクターナルアニマルズ」みたいな一般観客から見ると何言いたいんだが全然分からない映画に出て困惑と不信の表情見せるのもいいだろう。映画、全然おもしろくなかったけど。
「メッセージ」になると、笑顔どころか化粧もかなぐり捨てて、すっぴんで演技している時間が長かった。彼女はすっぴんでも美人だが、それにしてもスクリーン上でアップで素顔をさらすだなんて、並外れた根性だと思う。残念ながらすっぴんでも美人だったためにオスカー候補は逃したが。美人女優は、シャーリーズ・セロンの「モンスター」レベルに顔を変えなきゃオスカー受賞は無理なのだ。
「メッセージ」で笑顔の癒しを与えてくれたのは彼女の相手役のジェレミー・レナーだった。このカップル、ロイス・レインとホークアイ。DCとマーベルなので本来は会う機会さえない二人が、「メッセージ」ではカップルという面白い組み合わせ。「アメリカン・ハッスル」でも共演してたけど、そういえばこの映画ではバットマンとミスティークもカップルだったな。
エイミ-を次に見るのは再びきまじめな顔したロイス・レインの「ジャスティス・リーグ」になるのだろうか。ウワサでは「魔法にかけられて」の続編に再びジゼル姫でキャスティングということだが……その時は是非とも、あの魔法のように可愛らしい笑顔を炸裂させて欲しいものである。