アカデミー各賞に輝き、日本でも結構話題になってた映画「ララランド」。 私はワリと好きでした。歌もダンスも楽しいし、主役二人は可愛いし♪
このあと内容に触れますので未見の方はご注意下さい。
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しかし日本のウェブで見かける記事では手放しで褒めてたの、あんまり見なかったような。逆に『男性上司が「ララランド」見ろとすすめてウザイ』とか、『「ララランド」を見て元カノ語る男性続出』とかいう類の記事が目についてびっくりしたものですよ。そういう記事では大体映画についての正当な評価はされてなくて、見た後の人間の反応をとりあげているわけです、主に男性が元カノを思い出して胸にこみ上げるものがあったという。
これはよく言うアレですね、女の恋は上書き、男は名前つけて保存、という。昔の恋人とのあれこれを昨日のことのように思い出すというのは、やはり男性側に多いことなのでしょう。それでそのことを興味もないのに延々と語られる側の女性が恋愛感情の有無にかかわらず頭に来るというのが「ララランド現象」だったような。
非モテ一筋で一生を生きてきた私には元カレなんていないので、もし昔の恋人と一緒になってたら……なんて幻想の生まれる予知もないため、虚心坦懐に見られた分「ララランド」を手放しで楽しめたのかもしれません。
でもね、女性の目から見るとちょっと不自然だな……と思われる場面はあったのよ。ええ、私も上書き保存する女性ですからね。
「ララランド」のクライマックスはセブ(主人公)と別れたミア(ヒロイン)が女優として成功を収め、優しい夫と結婚して可愛い娘まで授かっているという幸福の絶頂にある時に、たまたま入ったナイトクラブでセブを見かける所から始まります。セブは二人が夢に描いた店をやっているので、彼は彼なりに成功しています。それを見たミアが、あのとき二人が別れず、そのまま愛しあい続けていたら……とつい思い描いてしまうんですね。そして出会いのシーンからもう一度やり直せたら……とそれまで映画で描かれたシーンを彼女の理想通りに直して早送りで数年分一気に見せていく。この一連のシーンが最高なのですが……。
でもさ、優しい夫と結婚して最愛の娘を授かって幸福の絶頂にいる女がさ、たまたま昔の恋人見かけたからって、その人と人生を歩んでいたら……なんて激しい後悔と共に思い出すかね? セブとに日々を思い描いている時のミアの顔って、女としてはあり得ないと思うんだけど、私。そりゃキライで別れたわけじゃないにしろさ、今の夫と出会って結婚するまでにはそれなりの恋愛をしたわけだろうし、娘はめちゃくちゃ可愛がってて仕事は充実してて順風満帆なんだからさ、昔の男なんてどうでもよくない?
その一点で、私にとっての「ララランド」は「楽しい」だけの映画になってしまったわけですよ。だって、あれ、女心じゃない。
だからこそ、「ララランド」を見た男心に響いてるんでしょうなあ。
たとえ今カノと幸せの絶頂にいても、元カノのことを別枠で思い返せる心情、それこそ名前をつけて保存できる男の特技なんじゃないでしょうか。