「Xメン」を見たのは子ども向けのアニメが最初だった。
当時テレ東で放送していたと思うのだが、かなり好きで欠かすことなく見ていたものだ。アメコミの絵柄がわりとそのままで動いているので、登場人物がみんないい筋肉してるのが好きだったのよ。
そのアニメではサイクロップスが主人公だったから、ウルヴァリンは彼の彼女であるジーン・グレイに横恋慕してるがに股で凶暴な背の低めな中年のおっさんとして描かれていた。顔も、イマイチ。
それなのに映画の「X-Men」で若く美しく背が高くて脚も真っ直ぐ長いヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じた時に一目でそうと分かったのは、何よりヘアスタイルが決め手だった。
アニメでもアメコミでもウルヴァリンをそれと知るには、あの特徴的な髪を見ればいい。戦闘シーンこそアダマンチウムの3本ヅメが目立つけれど、あれは普段は引っ込んでいるのだ。ウルヴァリンをそれと定めているのは、ひとえにその髪型なのである。
このあとネタバレになるので、未見の方はご注意を。
その髪型の特徴――頭のてっぺんでちょっとケモノの耳のような感じに両側がはねあがっているというもの――「LOGAN」ではほとんど見あたらなくなっていたので、普通人を偽装するためにやめたのだろうt思っていた。それでもそのヘアスタイルはウルヴァリンとして見慣れたものに近かったのだと、あとで分かった。
何故分かったかというと、映画の中で出てくるローガンのクローンが、全然違うヘアスタイルだったからである。丸刈りがそのまま伸びたスタイルというか、とにかく丸い頭で出てきたヒュー・ジャックマンは全然ウルヴァリンに見えなかった。「ウルヴァリン・ゼロ」に出てきた兄、セイバー・トゥースを演じていたリーヴ・シュライバーが実はよく似ていたということに、その髪型のヒューを見て初めて理解したぐらいである。
「耳」のない、丸頭のローガンは、ウルヴァリンではないのだ。
映画では老いたウルヴァリンと丸頭のローガンが戦うシーンがあるので、ヒューの二役を見て観客が混乱しないように髪型で差をつけたのだろうが、期せずしてウルヴァリンのアイデンティティがどこにあるのかをハッキリ示す形になったようだ。髪というのはまことにその人自身を表現しているものなのである。
全然関係ないけれど、「ビニー」の予告でアーロン・エッカートを見た時最初誰だか分からず、気づいて仰天したのもそのせいだろう。
アーロン・エッカートって、ずっと金髪で前髪あると思っていたから……。
アカデミー賞にヘア・メイク賞あるけれど、もっと評価されていいんじゃないかとしみじみ思ったことでした。変装にカツラとメガネって、ほんと有効だわ。