「スパイダーマン ホームカミング」(2D字幕)を見てきました。

いや、よくできた楽しいお話でしたね~♪ 日曜に見た「トランスフォーマー 最後の騎士王」がなんつーかガンゴン金属音のうるさいばかりの映画で辟易したのに比べると、主人公の成長物語であることがはっきりわかる、まとまりのよい作品になってて嬉しかったですよ。もートランスフォーマーはたくさんだ(でもきっと次も見に行くけど)。

 

というわけで、お盆休みに何か映画見ようと思っている方は、

「スパイダーマン ホームカミング」をどうぞ! 劇場によっては3D,MX4D、IMAX、ドルビーアトモスといろいろ揃っているんじゃないかしら。次のお勧めはミニオンです。子ども映画だけど。

 

しかし今回の「スパイダーマン ホームカミング」も主役が15才の高校一年生という設定だけに、かなり子ども映画に近い物があるんですよね。それでいて特にティーンエイジャー向けという作りでもないのですよ。それは「パワーレンジャー」ががっちりやっていて、そうなるとやはり大人が見てもたいしておもしろい映画ではないんですよね。

 

その違いは何かというと、「ホームカミング」では、たぶん誰もピーター・パーカーに自分を重ね合わせてみたりはせず、一歩ひいたところから彼の成長を見守るという視点で全編とらえられるからだと思うんですよ。「パワーレンジャー」は主役が5人いて、ティーンエイジャーならその内の誰かに自分を重ね合わせて見るのでしょうが、もーさすがにいいトシになると、いくら自分の若い頃を思い出そうが無理な話で。しかもパワーレンジャーは人間の大人の手を借りようとはしてないし。

 

しかし「ホームカミング」のピーターは、こういう映画の主人公としては珍しいことに、最初からアイアンマンの手を借りているんです。もちろん彼がスーパーヒーローとしてのパワーを身につけたのも、それでスパイダーマンになろうとしたのも彼一人でやったことですが、その後アイアンマンのトニーにスカウトされて、発明家である彼に最新鋭のスパイダースーツを貰う……というのがすでに「キャプテンアメリカ シビルウォー」で描かれているわけです。だから新しいスパイディは孤高のヒーローじゃないんです。これってホント、新しい。

 

そこから始まる「ホームカミング」のピーターは、もうアイアンマンを始めとするアベンジャーズの面々に認めて欲しくて認めて欲しくてたまらない。もうね、このそわそわワクワクうずうずする感覚が、15才! 青春以前の大人になりたがってる子どもの感覚、そのままなんですよ。15才の本人にとっては焦慮以外の何物でもないでしょうが、そこから一歩引いた視点でながめる大人の目からは可愛くってしょうがないのです。これは自分自身もそうだったという気恥ずかしさもあったりすると、尚更ですね!

 

ご存じのようにピーター・パーカーには父親がいないので、そうするとハンサムで金持ちでかっこいい車を持ってて超クールなスーツも作れるトニー・スタークがいきなり身近な存在になると、もっともっと彼と話して……たぶん大人の男としてのあり方を学びたいんですよね。でもトニーはそれが分かってるのであらかじめクギをさしている。そうするとピーターはスパイダーマンとして実力を見せることでトニーにアピールするしかなくて……と、物語とピーターのモチベーションのもっていきかたが本当に上手なんですよ。ピーターのソワソワ感が、説明なしでも観客に伝わって来て、それがまた演じているトム・ホランド君が可愛いもんだから、みんな彼を好きになってしまうんです。スパイダーマンって、サム・ライミが実写映画化して以来、如何に観客を味方につけるかってトコありますが、「ホームカミング」はバッチリ成功しています。観客みんなピーターを応援したくなっちゃう♪ 愛されてナンボのヒーロー像、ここにありです。

 

対する悪役、昔はバットマンで正義を守っていたマイケル・キートン、出てくるなり素晴らしい風格で威風辺りを払います。ピーター役のトム君、小柄でへろんとして見えるので(実はすごい筋肉質!)、この対比がまたいいんですね。15才で世間知らずのうぶな少年と、世の汚濁にまみれて立つ中年男。マイケル・キートンクラスの俳優になると、顔の皺1本1本から観客が勝手にドラマを感じてしまいますからね。真新しく真っ白なノートvs使い込まれた革表紙の日記帳、みたいイメージが二人が戦う前から視覚にすり込まれるのです。

 

でもこのマイケル・キートン、じゃなくて役の名前はエイドリアン、元から悪い人だったわけじゃないんですよ。ある事件をきっかけに、まっとうな仕事で稼ぐことに見切りをつけちゃった人なんですね。そこの描き方がホント短いのに説得力あってスゴイ。こりゃ仕方ないわと誰もが納得しますよ、あのシーンは。現代社会をきちんと反映しているというのがまた恐かったりして……。

 

というわけでお盆に見るなら「スパイダーマン ホームカミング」。

絶対のおすすめです。映画館満席だったら「怪盗グルーのミニオン大脱走」をどうぞ。こちら、吹き替えに起用した俳優がめっちゃ演技うまいという奇跡の1本なので、吹き替えでも大丈夫ですよ。