キングの原作も読んでるし、かつて制作されたテレビドラマも見ている。それでも尚かつ恐いんだから、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の恐ろしさはすでにストーリーを離れ、映画の作り方そのものにあるのだろう。いわゆる「ショッカー」映画、観客にショックを与えて怖がらせるタイプの作品の集大成と言ったところだろうか。
古今の名作・傑作ホラー映画を徹底的に分析し、どのタイミングで何を出すのが一番効果的かを研究しつくしたかのような作品で、もう、とにかく、心臓に直撃が来る。失禁するかと思うぐらいに驚かされ続け、見終わったら髪が真っ白になってるんじゃないかと思った。
「恐いシーン」には何か他の映画ですでに見たようなパターンが実は幾つも出てくるのだが、それらが次々にたたみかけてくると、やっぱり恐いのである。ペニーワイズを演じたビル・スカルスガルド、「アトミック・ブロンド」で見たばかりなのに、別人。
しかし恐いばかりでないのが「イット」のよいところ! キングの得意な少年時代の甘酸っぱい初恋の物語は切なく美しく、主人公達の抱える劣等感や人に言えない悩みなども細かく描かれていて大人の郷愁を誘う。その彼らの感じている恐怖が本当によく描けているので、子役達も皆、演技が上手いのである。だからこそ、余計なことを考えずに恐怖に没入できるのだろう。
というわけで、おすすめです。
恐がりに行って下さい。