ゴッホ、ゴーギャン、ジャコメッティ…美の巨匠たちを映す作品が続々公開(映画.com) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180107-00000009-eiga-movi @YahooNewsTopics
オスカー俳優ジェフリー・ラッシュと実力派アーミー・ハマーが共演する「ジャコメッティ 最後の肖像」が1月5日公開した。スマッシュヒットを記録している「ゴッホ 最期の手紙」をはじめ、「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」、ドキュメンタリー「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」など現在上映中の作品、待機作「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」まで、この冬は美術界の巨匠とその作品を扱う映画が目白押しだ。ドラマ作品では映画界を代表する名優達が個性豊かに芸術家を演じ、綿密な考証を基に再現されたアトリエが映し出される。映画、美術ファン必見の新作アート映画の見どころを紹介する。
▼「ジャコメッティ 最後の肖像」スタンリー・トゥッチ監督(公開中)
細長く引き伸ばされた彫刻で知られる、フランスで活動した芸術家アルベルト・ジャコメッティが最後の肖像画に挑んだ様子を描いたドラマ。名優ジェフリー・ラッシュは、身長や筋肉量にもこだわる徹底した役作りで、歩き方や猫背というシルエットまでジャコメッティを意識。まるで本人が乗り移ったようななりきりぶりで、狂気のような創作への執念、金に頓着せず決まり切った日課に従い、妻アネットの前で堂々と愛人に会うなど、変人と天才は紙一重ともいえる芸術家の姿を体現。一方、ジャコメッティのよき理解者でモデルでもあった日本人哲学者の矢内原伊作と妻アネットのただならぬ関係も映す。アトリエは、ジャコメッティ財団の協力を得て、膨大な資料を基に当時を完全再現した。
▼「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」ジャック・ドワイヨン監督(公開中)
近代彫刻の父と呼ばれる19世紀フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの没後100年を記念して製作された伝記映画。「ティエリー・トグルドーの憂鬱」でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞したバンサン・ランドンが、作品が正当に評価されなかった頃の芸術家の苦悩や、代表作「地獄の門」制作への情熱を描く。弟子であり、愛人であったカミーユ・クローデルとの愛憎と内縁の妻との関係など、官能に満ちた女性遍歴も挟み込まれ、フランス映画らしいエスプリの効いた男女の会話劇も楽しめる。ロダン美術館協力のもと、アトリエ内からロダンが身につけた作業着までを忠実に再現。日本ロケも行っており、箱根彫刻の森美術館での展示風景が劇中に使われている。
▼「ゴッホ 最期の手紙」ドロタ・コビエラ監督、ヒュー・ウェルチマン監督(公開中)
オランダ生まれの画家フィンセント・ファン・ゴッホの死の謎を描いたアニメーション作品。俳優が演じた実写映像を基に、100人以上の手で描かれた約6万5000枚におよぶ油絵をアニメーション化。誰もが知るゴッホの筆致が動き出し、ゴッホが弟テオに宛てた手紙を託された郵便配達人ジョゼフ・ルーランの息子アルマンの視点から、画家が自殺した謎、芸術家の苦悩の半生を浮かび上がらせるサスペンスドラマタッチの物語。ゴッホの代表作もそのまま映画のワンシーンとして使われており、絵画鑑賞とは違った形でゴッホの世界観に没入できる。アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞受賞、第75回ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞にもノミネートされている。
▼「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」(1月27日公開)
ゴッホと生活を共にしたことでも有名な、19世紀フランスを代表する画家ゴーギャンの知られざる創作の秘密とタヒチでの愛と苦悩の日々を、バンサン・カッセル主演で描いた伝記ドラマ。芸術のために家族と別れ、気候も文化も言語もパリとは全く異なるタヒチに渡ったゴーギャン。映像は彼の代表作のように南国の光に映える極彩色ではなく、新天地で若く美しい伴侶を得、新たな人生を送るはずも、貧困により肉体労働も余儀なくされた画家の葛藤を表すような陰りのある色調で表現。ルイ・ヴィトンと現代美術家ジェフ・クーンズのコラボ商品にも使われている、《かぐわしき大地》で描かれたゴーギャンのミューズ、テフラを演じたツイー・アダムスの野性味溢れる美しさも必見だ。