はい、タイトルから「が……」とつけたとおり、ぜんっぜんたいしたことない映画でした、のっけからすみません。

 

 

いやまあね、予告見る以前からアメリカでコケたっって情報あったので、こりゃあダメだろうと思ってたんですが、予告を見て尚更確信というか……。ディザスターのシーン見せられてるだけで、リアルじゃないのがありありと分かりますのでね。

 

だってさ、道に落ちた卵が割れてそれがそのまま目玉焼きになるってことはさ、その道路の温度が熱したフライパン並ってことですよ? 普通そんなとこ、そもそも立ってられないじゃん。卵が焼ける温度のフライパンの上なんざ、長時間手をかざしてることだってできませんよ? 料理作ってる最中とかでやむを得ずそれやってたら、火傷するんだよ? 仮にそれが急激な温度変化だったとしてもよ、近くでそんな急に温度が上がってたらまず間違いなく体感できるに決まってるんだからさ、卵焼けるの見守ってないでなんか行動起こすか、さもなきゃすでにぶっ倒れてるっての。

 

予告で見る限りでも、一事が万事この調子なので、こりゃあダメだろうと見るまでもなく分かってはいたのでした。

 

それでも見に行ったのは、私がジェラルド・バトラーのファンだから! ジェリーさんを支えるためなら私、がんばる!

 

ってわけでがんばって、初日早々の鑑賞となったわけですが、冒頭部からいきなりダメだこりゃと思ったのは、そのプロローグが「パシフィック・リム」ともろ同じパターンだったから! 「パシ・リム」見た人なら誰でも分かるぐらい、それはもうそっくりだったのです。

 

「パシ・リム」の冒頭というのは、主役であるローリーのモノローグにのせて短い映像を次々に見せることで災厄の始まった過去から現在に至るまでをテンポよく語るというもので、これ、とっても効果的で良かったのね。なにしろローリー演じるチャーリー・ハナムの声も演技も素晴らしいし、それがそのまま吹き替え版の杉田友和にも引き継がれているから、流れるようなのよ。その流れに観客はただ身を委ねるだけで、カイジューの登場からイェーガーとの戦い、その勝利から敗北までという一つの世界をぽーんとのみこんでしまえるわけ。

 

こういう見せ方は何も「パシ・リム」が初めてというわけではないだろうし、一つのパターンとして他の映画が使っても問題ないとは思うのだけど、それにしても「ジオストーム」でのやり方は真似っこがすぎたわ。で、それが上手く機能してればまだマシなのに、完全に失敗してるのです。いわゆる「すべった」というヤツ。

 

「パシ・リム」冒頭で述懐してるのは、この映画の主役、すなわち当事者、イェーガーのパイロットとして自らカイジューと戦ってきたローリーです。だからこそ、言葉に重みと真実味があり、そのまますーっと本編の映像世界に移行でき、結果めちゃめちゃ感情移入して拳握りしめて気持ちはカイジューと戦っちゃうわけじゃないですか。いや、そうじゃない人もいるかもしれませんが。

 

ところが、それをそのままやったらモロ「パシ・リム」のパクリになると思ったのか、「ジオストーム」では主人公の語りではないんですよ。若い女性の声で、それでもナレーションとして成立してるから、それはそれでよかったの。それがね、最後に彼女が自分の正体をつまびらかにするセリフを言った瞬間、ズッコケるのよ、観客は。それはもう盛大に。これは私だけじゃないと思う。

 

「おまえがエラそうにそれ言うか?!」

 

みたいな感じ。

いや、うんと若い観客なら、また違った見解をもつかもしれないけれど、少なくとも私はこの段階で「ジオストーム」の脚本、大丈夫かと思いましたね。懸念通り、ダメダメでしたけど。

 

なんてゆーかね、プロットそのものは悪くないんだけど、それだけじゃ単純すぎるってんでいろいろくっつけたのがダメだったんだと思う。しかもどれもどこかで(主としてローランド・エメリッヒの映画)で見たようなシチュエーションばかりだったし(そしてどれひとつとしてエメリッヒを超えていない)。

 

そしてキャスティングがね、分かりやすすぎる。

 

この位置にこの俳優いたら、それは絶対○○でしょうというのがバレッバレなキャスティングって、もうやめて欲しい。

 

唯一良かったのはアビー・コーニッシュ♪

 

あ、主役はジェリーさんだから無敵に決まってるので。無敵すぎて、心配する気になれないからディザスタームービーに向いてないってのはドウェイン・ジョンソンの映画でカントク学ぶべきだったと思う。配する必用のない人って、見ててもサスペンス盛り上がらないから。

 

で、ほんと、唯一見てて楽しかったのが、強くて美しいアビー・コーニッシュ。なんで名前フルで何度も書くかってゆーと、この方、どの映画で見ても印象的なのに、何故か名前を覚えていられないから。今度こそ覚えるぞ、アビー・コーニッシュ。若い頃のラーダ・ミッチェルと似てると思う。

 

少なくとも彼女の活躍には胸を躍らせることができたのが救いです。アビー・コーニッシュ、いい女優さんだわ♪

 

まあ、あの、緊迫感はないけどディザスターシーンはなかなかすごいので、デートムービーとして退屈することはないと思います、「ジオストーム」。2Dで見た限りではスリルとサスペンスは何にも盛り上がらないんだけど、3Dとかならいけるかも。

 

少なくともテレビで見るよりは映画館で見た方が迫力は絶対感じられると思うので、どうぞ週末にお時間のある方は足をお運び下さい。

 

「パシフィック・リム」の方が絶対おもしろいけどね。