叶井氏といえば映画「アメリ」を見もせず監督の名前からホラーだと思い込んで買い付けたというエピソードがもはや業界のレジェンドとなってますが、その同じ轍をまたもや踏んでしまったのがこの映画、「ベルリン・シンドローム」なのです。
つまりホラーだと思い込んで買ったら、全然そうではなかったと。
でもホラーだと思い込んでたもんで、そのノリで日本のポスターやチラシのメインビジュアルはこんな「ホラー風」なものになってしまったということなんですが……う~ん、そう見えます?
私はここに映っているヒロインのテリーサ・パーマーが好きなので試写会に応募して運良く当選したのですが、そもそも内容の説明が全然「ホラー」ではなかったのでそのつもりで見てたら、ちゃんとおもしろかったですよ。超自然的体験はないですが、非日常的体験はたっぷりあるし、それにちゃんと恐い。お化けの出るような恐さじゃないですが、「ソウ」をホラーに数えるんなら「ベルリン・シンドローム」だってその仲間に入れてあげもいいんじゃないかと思います。なにより緊迫感が途切れることなく持続するのが上等だと思いますわ。
ただ、映画よりおもしろかったのが、冒頭でご紹介した叶井俊太郎氏のトークね。
一度ならず二度までも(ひょっとしたらもっと)、映画の内容確認せずに勝手にホラーと思い込んで映画買い付けてくるってね。大丈夫なんですかい、と観客全員が心の中で突っ込みましたよね。それでポスタービジュアルも、欧米の物とはガラリとスタイルを変えてホラー風にしたとか。このビジュアルだけにつられて映画を見た人はきっと起こるに違いないというご意見もありましたが、しかしこのポスターにしたおかげでツタヤに買って貰えたからいいんだと、開き直って大いばりするシーンもあったりして、いや、ほんと、見ていて飽きない御仁なのねと叶井氏の印象ばかりが強く残る始末。
以下、映画の内容に触れるので、予告編をはさみます。
まあ、予告で紹介されてる通り、監禁ものなんですよ、これ。
そのせいなのかなんなのか、カンヌのマーケットでこの作品の試写に居たのが日本人ばかりだったんですって。それで叶井氏が「これなら日本で当たる!」と確信して、試写も見ずに買い付け交渉に当たってゲットしたそうなんですね。
そういうこと……女性をさらって監禁する……ということをしたがる男性って、洋の東西を問わず一定数いるんですかね~~~。
それはさておき、この映画でおもしろいのはタイトルにもなっているベルリンという街かもしれません。かつて東西冷戦の中心地だった都市で、去年公開された「アトミック・ブロンド」ではその終焉の頃のベルリンが描かれていました。この映画では現在が舞台なのですが、やはり過去が爪痕を残していることが分かります。ベルリンはいろんな映画で舞台になることも多いのですが、大都会や歴史的な都市としての表面以外の、意外な側面を「ベルリン・シンドローム」では見せてくれます。
等と書きましたが、私がこの映画で一番驚いたのはテリーサ・パーマーの肋骨でした。これは誰が見てもちょっとギョッとすると思う。なんでそんなところに肋骨? みたいな。彼女惜しげもなく裸身をさらしていて、綺麗な乳房もあらわなのですが、それより何より肋骨に気を取られてめを丸くしていた私なのでした。
テリーサ、可愛くて演技も抜群なので、将来伸びると私は思っているのですが、でも大丈夫なんだろうか、あの肋骨で……。何はともあれ、彼女にはますますの躍進を遂げて欲しいです。