前の記事からの続きになりますが、「アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル」を見て一番びっくらこいたのがセバスチャン・スタンの姿!
あ、セバスタ、出てることは知ってたんですよ。知ってたからあれがセバスタだと見当はつけたものの、最初に見た時の第一印象が彼じゃなくてマイケル・ペーニャだと思ったもので。
思わず一句詠んじゃいましたよ。
セバスタが ペーニャに見える アイトーニャ
ペーニャといえば「ザ・シューター」ではFBIでスーツでキメた姿を見せていたものの、基本的には「アントマン」で主役の友達演じた時のようなどこか間の抜けたようなお人好しの役が多い人。
そのペーニャに似て見えるってことは、セバスタがすっごくお間抜けな顔してたってことで……(ごめんね、ペーニャ)、そして本当にすっごくお間抜けな役だったのでした。セバスチャン、君って、すごいね。ハンサムな顔のままあんな役ができるなんて!
セバスタといえば「キャプテン・アメリカ」に出てくるウィンター・ソルジャーですよ? あの暗い目をして長髪をなびかせた美形の片腕サイボーグですよ(ちょっと違う)? 最新の「アベンジャーズ インフィニティウォー」でもしっかり見せ場貰ってて、それはそれはキャップと良い雰囲気だったのに、髪とヒゲでこうも変わるかというぐらい男前度を下げてくれちゃって……。いや、ハンサムはハンサムなんですよ。トーニャが惚れるぐらいだからいい男の役には違いない。でもすごく安っぽく見えるんですよ。もう、上っ面だけのダメ男。基本、馬鹿。あのウィンター・ソルジャーが……って、考えて見たら彼も登場当初は洗脳されてて頭ほぼ空っぽだったから似たようなものだったのか??? いやいやいや、一番始めはスティーブ(キャプテン・アメリカ)の大親友のバッキーだったんだから、そんなことはないはずで……、つまり、セバスタの演技力は並外れているということですね、うん。
これが不思議なんですが、セバスタが間抜け面をしてみせるとペーニャに似て見えるのに、ペーニャがかっこいい顔をしてもセバスタとはどこも共通点が見いだせないという……ジャック・ロウデンとサイモン・ペッグより相似の度合いが遠いんだなという大変どうでもいい感想を抱いたりして。
まあ、ある意味、トーニャの人生を狂わせたのがこのセバスタが演じた元夫なわけなので、それなりのスーパーヒーローをもってこないと釣り合わないんだな、とは思ったのでした。今はともかく、元悪役だし。
何故かというと、主役のトーニャを演じたのがマーゴット・ロビー。
はい、「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クインですね。
超絶可愛いけれど、絶対的な強さとしては前記事で書いた女性陣に一歩及ばない感じのマーゴット。この「一歩及ばない感じ」がそのままトーニャに投影されていて絶妙でした。
マーゴットって、映画の中で強い女性を演じても、「ターザン REBORN」のように最後はうんと強い男性に守って貰うのが似合ってる気がします。そこが可愛いんだけど、当然弱さにもつながるわけで、「アイ、トーニャ」ではその強さと弱さのギャップを見事に演じてました。そしてその弱さにつけこむのがセバスタってわけですよ。うん、悪い男。そう、悪役っていうより、ダメで悪い男なのね、世間にごろごろ転がってる、バカ度ちょっと高めな。
マーゴットもね、ターザンみたいに高潔な男性が相手なら「守って貰いたい」というを存分に満足させて貰えるわけですが、これがジョーカーやら悪のウィンターソルジャーだったりしたら人生破滅に導かれちゃうわけです。ハーレイ・クインはそんな自分に酔っていたからずっと幸せでいられたけれど、トーニャは生身の人間なのでそうはいかない。そういう自分の心の弱さにつけこまれ、それを克服できない女性像がきちんと描かれているので、「アイ、トーニャ」はそのセンセーショナルな事件の描写に留まらず普遍的な物語として心に響いてくるんですよね。
それでも負けたままで終わらないトーニャの頑張りが最後に希望を見せてくれるし。
実話ベースじゃなければ、ほんと、こんなのありえねー! ってくらいオバカな話なので、おもしろさも激しいです。是非一度ご覧下さい。