これ、このパンダ! かつて私の心を虜にしたのがこのイラスト。
今はシャンシャンが人気のですが、パンダといえば私にとっては内藤ルネのこのキャラクターだった時代がありました。
こちらは先日開かれていた内藤ルネ展で撮影したもの。
撮影OKのコーナーが幾つかあって、訪れた人がみんな真剣な面持ちで写真撮ってましたね。
前世紀に一世を風靡した内藤ルネ。
その可愛らしい名前から、御本人もきっと可愛らしい女の方なんだろうとずっと信じておりました。
その訃報に接するまで。
いや~、男性だと知った時は衝撃でしたね! だって、あんなにカワイイパンダやその他もろもろのイラスト書いてたのに……。
でもこのパンダ、よく見ると御本人の顔立ちによく似ております♪
う~ん、ルネパンダのこんなイラストも描かれていたのか~。
私がルネパンダと出会ったのはレターセットに描かれたものが最初だったと思います。あんまりカワイイので、他の種類はないかと積み上げられている便箋の下の方を探したりして、古い物を発掘しては喜んでた覚えがありますよ。
それで RUNE という作者の名前を覚えて、そのサインのあるイラストのついた文房具を探し回ったりしてね。探しては絵を見るだけが殆どだったですが。なにしろ子どもだったので、使えるおこづかいが少なかったんですよ。友達何人かで何種類かあるレターセットを一種類ずつ買い、分けっこした覚えもあります。
その内パンダだけじゃなく、他の柄でも RUNE のイラストだとその線やタッチから分かるようになりました。思えば私が好きな作家で絵を見て回るようになったのは、この内藤ルネが嚆矢だったわけです。
大人になるにつれて興味の対象は代わり、いつしか RUNE の文房具を買うことはなくなり、街でそのイラストを見かけることもなくなりました。でもあのパンダの可愛さは決して忘れることはありませんでしたよ。訃報に接し、仮に世間が忘れても、私だけはあのパンダを忘れない! と心に固く誓っていたぐらいですが……
今や日本の「カワイイ」の原点として、空飛んでるんですもんね!
>LCCのPeach Aviationは4月27日、JAPANカルチャーを代表する「Kawaii(カワイイ)」のコンセプトを世に広めたことから、「ルーツ of Kawaii」と呼ばれるマルチクリエーター「内藤ルネ」と、新たにコラボレーションを開始した。RUNE GIRLのラッピング機(JA816P)やRUNE GIRLがPeachのECサイトのナビゲーターを務めるなど、様々な取り組みを行う。
ところで内藤ルネさんは日本では少数派と思われる、自分がゲイであることを公言していた方でもあるそうです。ゲイであることが仕事の妨げにならないほど、日本で唯一無二の存在だったということでしょう。ルネ展にはそのつながりで「薔薇族」という有名なゲイ雑誌に載せてたイラストもたくさん展示されておりました(こちらは撮影禁止)。そのイラストを見ると、笑っちゃうぐらいクリス・パインにそっくりな男性像ばかりなんですわ、ええ、あの「スター・トレック」のカークの。誰か特定のモデル(たぶんカレシ)がいたんでしょうね♪
戦後わりとすぐから活躍していたそうなので作品は膨大にあるのですが、原画がほとんど残っていないそうです。雑誌の挿絵や付録もたくさん手がけていたそうで、本が残っている物からの復刻版の展示も多かったです。
これだけの膨大な絵を描いて、その絵はたぶん誰もが目にしていて、でも作者の名前を知る人は恐らくほとんどいない……。商業的には抜群の成功を収めているのに、例えばミュシャとかクリムトとかのように世界に名の知れた芸術家として内藤ルネ評価されることがないのは残念だとかつては思っていたものですが、今や「日本のカワイイの原点」とされているのなら、彼の作品が今後世界中で人気を呼ぶことだってあるかもしれません。
だってルネパンダはホントにカワイイんだから!