2月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3294
ナイス数:48
ナイン・ストーリーズ (ヴィレッジブックス)の感想
「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」を見る前に借りた。冒頭の「バナナフィッシュ日和」だけ読んで 映画鑑賞。その後残りの8篇を読む。結果的に映画鑑賞と読書がいい具合に補完しあい、双方の理解に役立ったと思う。といっても分かったのは作品を書くに至った背景だけで、内容というか、それを通じて彼が何を訴えたかったのかはサッパリだが。なんとなく、内容なんかどうでもよくて、ただ小粋で洗練された文章をそれっぽく書きたかっただけなんじゃないかという気も。読む方が「分からない」ので想像を逞しくしてるだけかもしれない
読了日:02月02日 著者:J.D.サリンジャー
カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)の感想
なんか評判らしいので図書館で借りることにしたら、順番予約してるのに上巻だけ先に届きやがった! 上下揃うまで読まん! もちろん返さん! と鼻息を荒くしてたが幸い一週間で下巻が届いたので読み始める。本の体裁が一風変わっているので、ある種の仕掛け本であることが分かる。そうすると変に勘ぐってしまうので、些末な事が気に掛かってどうにも集中できない。人物の登場のさせ方や描写にそこはかとなくやりすぎ感が漂うのも企みの一つなのかとか。それはさておき、去年ロンドンからバースに観光に行ってたのがこんな所で役に立って嬉しい♪
読了日:02月04日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ
カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)の感想
二次創作の最高峰作家なのだろうとは思うが、そんなにクリスティーか? それを書いたとする作家の性格設定上、敢えて彼女の上質なユーモア部分は省いたのかもしれないが、くどくてつまらないだけ。細かい仕掛けとかトリック部分とかは、クリスティーファンなら読めば大体見当がつく。どっかで読んだような感じがつきまとうのはそのせいか。それにしてもヒロインが馬鹿。この「自分の身に危険が及ぶ可能性についての鈍感さ」が御都合主義過ぎて興醒め。ミステリファンとも女とも思えんわ。意外な犯人ではあったが、知った時には驚く気力が失せていた
読了日:02月05日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ
インターンズ・ハンドブック (海外文庫)の感想
アメリカ産ラノベ。ドラマ「ブラック・リスト」のトム・キーンと映画「ジョン・ウィック」のジョンを足したようなキャラクターで、映像的なアクションの描写もまさにそのまま。読み始めの頃は頻発する「くそ」に辟易し、10ページ読んでは本を置いてツイッターに逃避していた。比喩もいちいち汚らしいし。後半になると卑語や悪ノリ描写が少なくなって多少は読みやすくなる。最後の方でようやく人間らしさと面白さを感じられた。いずれはこんなタイプの作品ばかりが「文学的な虚飾や欺瞞をはぎとった」としてもてはやされる日が来るのかも。
読了日:02月10日 著者:シェイン・クーン
ライ麦畑でつかまえての感想
直前に読んだ「インターンズ・ハンドブック」の主人公と対極にあるのが本書の主人公。なすべき事を完璧なまでに把握し必用な事を淡々と無駄なくこなす有能な青年が前者なら、「ライ麦~」のホールデンは自分が何ををしたいのかすら分かっていない青二才。その間およそ70年。青年期の悩みは未だあれど、ホールデン的な悩みにかまけている暇があるのは、今も昔も特権階級だけというのが周知徹底するのにそれだけかかったという事。映画「ライ麦畑の反逆児」を見て、時代背景が分かったので読んだのだが、良かったのは最後の方の一文だけだった。
読了日:02月10日 著者:J.D.サリンジャー,野崎 孝
神聖ローマ帝国 (講談社現代新書)の感想
名前は聞いたことあるし、世界史で勉強した事もあるはずなのに「神聖ローマ帝国」と聞いても何だかサッパリ分からなかったが、本書を一読して何となくわかった気になった。たぶんすぐに忘れるだろうけれど。だって出てくる王様の名前が3種類ぐらいしかないのだ。2世3世つけられてもフリードリッヒのオンパレードでは覚えられないよ。本書を読んで分かったのだが私は同じ名前が3つ以上出てくると「その他大勢キャラ」と認識してどうでもよくなってしまうらしい。違う人間と分かっていても個々のフリードリッヒとしての興味が著しく削がれるのだ
読了日:02月10日 著者:菊池 良生
洋裁文化と日本のファッションの感想
型紙をおこし布を裁ち組み立て縫い上げて服を作る「洋裁」という技能、外では収入源となり内では家計の節約にと女性の生活向上に大変役立っていた時代が日本にはあった。それを支えていたのが数多の洋裁学校であり、そこでは技能のみならず着こなす技術やマナーなど教養も身につけられたそうだ。その土壌があってこそ、終戦後に洋服があっという間に普及したのだった。「洋裁文化」が日本女性に及ぼした良い影響は計り知れない。服を見る目が養われてたので内外のファッションにも鋭敏になれた。「洋裁」の活路は今後はコスプレに見いだせるかも…。
読了日:02月14日 著者:井上 雅人
ウルトラマン誕生 (ちくま文庫)の感想
実相寺監督が亡くなった年に上梓された本。内容はその20年前に出版された、さらに20年前を思い出して書かれたものの再録など。今読むと「ウルトラマン」に続くシリーズはその頃が実は黄金期であったことが分かる。「特撮映画」を自分たちの手で作り上げていこうという気概と、工夫の数々。お金がないので手間と体力を惜しまず作り上げた作品群は、今や日本の至宝となった。 CGによる映像が当たり前となった今、あの時代の「特撮」を今の子ども達はどう見るのだろうか? そこに込められた魂の輝きは感じられるだろうか? できるさ、きっと♪
読了日:02月17日 著者:実相寺 昭雄
ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上の感想
本筋とは全く関係ないが、作中に「ザリガニ祭り」が出てきた。私はIKEAのイベントで知ったのだが、これが結構夏に戸外で行うパーティーとして友人や家族の集まりとして大がかりなものらしい。ザリガニ、といえばアレだが、あちらでは淡水性のロブスターという扱いである。 本筋の方はメロドラマチックだが、まだこれからということで
読了日:02月28日 著者:ダヴィド ラーゲルクランツ
ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下の感想
下巻で一気呵成に面白くなった。ドラゴン・タトゥーに込められた意味に痺れる。ストーリーとは直接関係ないが、ギタリストでジャンゴという名前が出てきて、これは2017年の映画「永遠のジャンゴ」の人の事だろうと思ったらその通りだった。見なかった事を大変後悔した。また「サーミ」という民族の名前も出てきたが、こちらは「サーミの血」という映画を見ていたので何が行われていたのか具体的に理解できてよかった。「頭蓋骨を測る」という記述は去年読んだ「首切りの歴史」のおかげでその深い意味を理解する事ができた。映画も読書も役に立つ
読了日:02月28日 著者:ダヴィド ラーゲルクランツ
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