8月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:6705
ナイス数:94
そしてミランダを殺す (創元推理文庫)の感想
パトリシア・ハイスミスやロバート・ブロックの描くような、本人は間違ってないと信じているけれど端から見たら大前提からしてすでに間違ったまま人生送っている人たちと、彼らのせいで人生を狂わされてしまう人々の話。おもしろい。 いつか世界の価値観がすっかり変わってしまったら、私たちが「異常」と感じる彼らの方が正しくなるだろう。「彼ら」は増え続けているから、民主主義ではその数が勝った時点で私たちの負け。頭のいい彼らは罪の意識も同情心もないままなく(元々もってないので)私たちを搾取し続けるのだ。功利的に、効率的に。
読了日:08月22日 著者:ピーター・スワンソン
リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)の感想
同名の映画が良かったので以前から読みたかった原作。少なくとも上巻までは非情に忠実に脚本化されていた。本書、無駄に叙述、というか主人公の一人語りが多いので、映画を先に見てなければうんざりして途中で放り出してたかも。でもそういえば映画でもぐっと面白くなるのは後半だったから、あえてそういう作りにしてるのかも。さて、本書には主人公がラッパーについて語るシーンが幾つかある。「オールアイズオンミー」等の映画を見ただけではもう一つ分からなかった彼らの気持ちが、その出身地の荒んだ様子が本書で語られた事で少しは分かった。
読了日:08月26日 著者:マイクル・コナリー
リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)の感想
下巻になると一気に物語りが加速する。それにしてもこれの映画化は大変よくできていたと思う。あの映画の面白さは間違いなく原作にあってのものだ。緻密な脚本と手練れの役者、的確な演出、完璧すぎたのがかえって一般受けしなかったのかも……。
読了日:08月28日 著者:マイクル・コナリー
レンブラントの夜警の感想
同名タイトルの映画のノベライズ。映画で見た方が面白いのだろう。本では何に対しても均等に淡々と書かれているので重要な部分を読み飛ばしてしまう。内容的にもテーマとしても興味をひかれないわけではないのだが、もう一つ好きになれない。それは登場人物達の人間性というか人間臭さを打ち出すためだろうが、排泄や生殖に関わるいわゆる「汚い」表現が多すぎるから。溲瓶なんて単語、1ページに何個も見なくていい。ちなみに現代の研究では「夜警」の画面が暗くて夜に見えるのは、上塗りのニスが変色したせいで最初はもっと明るい画面だったそうな
読了日:08月29日 著者:ピーター グリーナウェイ
こどもと絵で話そう ミッフィーとフェルメールさんの感想
名画をタイトルとしながら全然美しくない本を読んだので口直し。レンブラントもフェルメールもミッフィーちゃんのブルーナも同じオランダ出身。本書の解説は子供用に短く簡潔なのだが、それでも文章が非常によい。その絵の見るべき所を的確に捉え、その情報を伝えつつ鑑賞する子どもにどう思うかと問いかけているのだ。押しつけることなく、ただ、名画に親しめる。先頃日本でも公開された「真珠の首飾りの女」、美術館で見ても分からなかった腕の位置の理由、本書掲載を見て初めて分かった。首飾りのリボンを引っ張って鏡によく映るようにしてたのね
読了日:08月30日 著者: