9月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:5380
ナイス数:88
真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)の感想
前作のあと、いろいろあっておはうちからしていた主人公が何とか弁護士の仕事に復帰するところから始まる。刑事事件の弁護士ものは事件がすでに起こってしまったところからスタートなので通常のミステリーとは違う。ではどこに主眼があるのか? 読者としては謎を解きたいのだが、その謎がどこにあるのかがまず最初の謎という……前作もそうだったが、上巻は細々した説明とくだくだ長い描写ばかりで半分飽きる。だから合間にはさまれるちょっとした人助けのエピソードがやけに嬉しい。ところでこの被告のモデルはワインスタインのおやぢかな?
読了日:09月03日 著者:マイクル・コナリー
真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)の感想
上巻に引き続き、現在ドラマ「BULL」で描かれているような、米国の現行の陪審員制度の弊害的状況やそれを手玉にとる弁護士のやり方が描かれる。ミステリーのトリック的な部分はすぐに分かるのだが、実はそれこそがミステリ通をもひっかけるためのミスディレクションなのかもしれないと思った。してやられた感じ。実は筆者が一番訴えたいことは他にあって、それがきちんと描かれているのが良い。弁護側からの視点ではあるが検察含めて法廷での事がよく分かるが、一番の驚きはこの司法制度の中で判事がどれだけ自分勝手に振る舞えるかだったりする
読了日:09月04日 著者:マイクル・コナリー
ストーカーとの七〇〇日戦争の感想
ストーカー対策については240pから。そこまでは筆者の体験による被害者側の苦しみが縷々綴られる。「ストーカーに話は通じない」事は海外の犯罪ドラマ見てれば明白なのに…と歯痒くなったりもする。しかしストーカー被害とは、それまで「自分と同じ人間」と思っていたものが皮一枚下に全然違う姿を隠してる、ホラー映画の様な世界なのである。殺人鬼には何を訴えようが、決して殺す手を休めない。その恐怖が日常となるのだ。最近では「治療」の道もあるらしいが、日本はまだまだ遅れている。警察も司法もだが、特に弁護士があてにならないみたい
読了日:09月05日 著者:内澤 旬子
判決破棄 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)の感想
刑事弁護士だったのが一転、今度は検察官になるミッキー。抜擢かと思いきや、体のいいスケープゴート? しかしそこは転んでもただでは起きないミッキーのこと、気心の知れたメンバーでチームを組んで、有罪判決を勝ち取るために邁進する。これまでのシリーズと違い、被告は有罪間違いなし。のはずなのに新たな証拠DNAが出たために冤罪の可能性ありとされたのだ。その証拠を元に「ありそうな話」をでっちあげて無罪放免を狙う弁護側。証人を探し出してそれを嘘と暴きたい検察側。保釈されたのを幸い、怪しい行動をとる被告。続きはどうなる?!
読了日:09月07日 著者:マイクル・コナリー
判決破棄 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)の感想
法廷では、検察と弁護、最後には駆け引きの上手い側が優位に立つ。しかし最終的に無罪が有罪を決めるのは陪審員。それも全員一致でなくてはならない。もうこんな陪審制度なんてやめればいいというか、時代に合わせてAIいれるとかして私心のある人間の関与をやめればいいと思った。 さて、このシリーズはラストがいわゆる「苦い勝利」なのである。そこに至るまでが本書は最高に上手い。だからといって後味がよくなるわけではないが、でも最後の最後に一服の清涼剤的なエピソードがある。それがあるだけでも何とか読者は救われるというものだ。
読了日:09月08日 著者:マイクル・コナリー